5年間の野菜の摂取量が1日当たり100g増加すると、体重が25g減少!多目的コホート研究(JPHC Study)

 平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、東京都葛飾、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、大阪府吹田、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の11保健所(呼称は2019年現在)管内在住で40~69歳のうち、研究開始から5年後と10年後に行った食事調査アンケートに回答し、5年後調査時に慢性疾患(がん、循環器疾患、糖尿病、高血圧、高脂血症)になっていなかった約5万4000人について、5年後および10年後調査による、5年間の野菜・果物摂取量の変化と、5年間の体重変化との関係を調べた結果。
 野菜・果物の摂取量は、食事調査アンケートから計算し、摂取量の計算に用いた野菜・果物の種類は以下のとおり
 野菜(29種類)-緑色野菜(5種類:ほうれん草、春菊、ピーマン、ヨモギ、さやいんげん)、黄・赤色野菜(4種類:にんじん、かぼちゃ、トマト、トマトジュース)、アブラナ科野菜(11種類:キャベツ、大根、大根の漬物、白菜の漬物、白菜、小松菜、チンゲンサイ、からし菜、野沢菜漬物、フダンソウ、ブロッコリー)、ネギ類野菜(2種類:玉ねぎ、にら)、その他(7種類:きゅうりの漬物、ナスの漬物、きゅうり、レタス、もやし、ゴーヤ、へちま)
 果物(17種類)-柑橘類(3種類:みかん、みかん以外の柑橘類(はっさく・いよかん・オレンジ)、100%オレンジジュース)、柑橘類以外の果物(14種類:メロン、スイカ、りんご、100%リンゴジュース、なし、もも、梅干し、かき、イチゴ、ぶどう、キウイフルーツ、パイナップル、バナナ、パパイヤ)
 結果、5年間の野菜摂取量が1日当たり100g増加するごとに、体重が25g減少していた。(上図参照)。特に、黄・赤色野菜や、ネギ類野菜では、1日当たり100g増加するごとに、それぞれ74g、129gの体重減少がみられた。 果物摂取量については、増加群と減少群で異なった結果で、5年間の間に果物摂取量が増加したグループでは、果物の摂取量が1日当たり100g増加するごとに、体重が70g増加していた。しかし、果物摂取量が減少したグループでは、体重との関連はみられなかった。
 報告者は、「今回の研究では、5年間の野菜摂取量の増減は体重の増減と関係があったが、果物では摂取量が増加したグループでのみ体重増加と関係がみられた。この理由の一つとして、野菜は食事と一緒に摂取するため、野菜の摂取量が多いと、ご飯やおかずの摂取量が減り全体のエネルギー摂取量が減るという、全体のエネルギー摂取量の増減と関係しやすい可能性が考えらる。一方、果物は間食として食べるため、全体のエネルギー摂取量の増加に関与するのではないかと考えられる。果物の摂取量が減少したグループと体重減少との関連がみられなかった明らかな理由はわからない。」とまとめている。

※ JPHC Study (Japan Public Health Center-based prospective Study):厚生労働省がん研究班による多目的コホート研究

多目的コホート研究(JPHC Study)
「5年間の野菜・果物の摂取量の変化と体重変化との関連」
 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8493.html