腎臓病の有無にかかわらず、野菜や果物を食べない人ほど死亡リスクが高いことを示唆(新潟大学大学院)

 新潟大学大学院医歯学総合研究科の 若杉 三奈子 氏らの研究グループの報告。2023年02月21日新潟大学ホームページにて公表。研究成果は2023年2月13日「Journal of Renal Nutrition」に掲載。

 2008年から新潟大学とJA新潟厚生連佐渡総合病院が共同で行っているコホート研究「佐渡プロジェクト(PROST:PROject in Sado for Total health)」の参加者のうち、登録時に腎機能の情報と野菜・果物の摂取調査結果があり、腹膜透析を受けていない2,006名(平均年齢 69歳、男性55%)が対象。対象者のうち、902人(45%)が保存期CKD*、131人(7%)が血液透析患者。野菜や果物の摂取頻度は、自記式質問票を用いて調査。毎日食べる人を基準として、時々食べる人、ほとんど食べない人の3群に分け、死亡のリスクを計算。

 結果

 平均5.7年間の追跡調査中に、561人が死亡。野菜や果物を毎日食べる人に比べて、時々食べる人は、1.25倍(95%信頼区間1.04-1.52)、ほとんど食べない人は、1.60倍(95%信頼区間1.23-2.08)の順で死亡リスクは高くなり、この関連は保存期CKDや血液透析患者でも同様な結果。(上図参照)

 報告は、「腎機能が低下した保存期CKDや血液透析患者でも高カリウム血症を恐れるばかりに、野菜や果物の摂取制限を指導することは適切ではない可能性がある。野菜や果物には、カリウム以外にも様々なミネラルやビタミン、食物繊維などが含まれ、それらが好ましい影響を与えている可能性がある」とまとめている。

*保存期慢性腎臓病
 CKD(慢性的に経過した腎臓病)のうち、腎代替療法(透析や腎移植などの腎臓の機能を代わりに行う治療)を行っていない状態を言う。


「腎臓病の有無にかかわらず、野菜や果物を食べない人ほど死亡リスクが高いことを示唆」(新潟大学)
 https://www.niigata-u.ac.jp/news/2023/347955/
「Vegetable and fruit intake frequency and mortality in patients with and without CKD: A hospital-based cohort study」(Journal of Renal Nutrition)
 https://www.jrnjournal.org/article/S1051-2276(23)00021-3/fulltext