中国・山東大学のMin Zhao氏らの調査結果。BMJ誌2020年7月1日号に掲載。
アメリカ国民対象のNational Health Interview Survey(国民健康聞き取り調査)1997~2014年と、National Death Index(国民死亡記録)の2015年12月31日までのデータを関連付けた成人(年齢18歳以上)47万9,856人が対象。
2018 Physical Activity Guidelines for Americans(米国人の身体活動ガイドライン)で推奨されている有酸素運動(週150分以上の軽強度から中強度の運動または75分以上の高強度の運動または同等の組み合わせ)、筋力トレーニング(週2回以上)を基準に、どちらも満たしていない「運動不足群」、有酸素運動のみ満たす「有酸素運動群」、筋力トレーニングの満たす「筋力トレーニング群」、どちらも満たす「有酸素運動+筋力トレーニング群」に分類。全死因死亡と原因別死亡(心血管疾患、がん、慢性下気道疾患、事故/負傷、アルツハイマー病、糖尿病、インフルエンザ/肺炎、腎炎/ネフローゼ症候群/ネフローゼの8疾患)との関係を分析。
47万9,856人中7万6,384人(15.9%)が「有酸素運動+筋力トレーニング群」、11万3,851人(23.7%)が「有酸素運動群」、2万1,428人(4.5%)が「筋力トレーニング群」、26万8,193人(55.9%)が「運動不足群」に分類された。また、追跡期間中央値8.75年の期間中に、5万9,819人が死亡。このうち、1万3,509人が心血管疾患、1万4,375人ががん、3,188人が慢性下気道疾患、2,477人が事故/負傷、1,470人がアルツハイマー病、1,803人が糖尿病、1,135人がインフルエンザ/肺炎、1,129人が腎炎/ネフローゼ症候群/ネフローゼで死亡した。
結果、「有酸素運動群」「有酸素運動+筋力トレーニング群」は、全死因死亡と8疾患すべての死亡リスクに関連。筋量トレーニング群」は、全死因死亡と心血管疾患、がん、慢性下気道疾患の死亡リスクと関連していた。全死因死亡のリスクは、ガイドラインの推奨を満たさなかった「運動不足群」と比較して、「筋力トレーニング群」は11%(CI:0.85~0.94)、「有酸素運動群」は29%(CI:0.69~0.72)、「有酸素運動+筋力トレーニング群」は40%(CI:0.57~0.62)低かった。心血管疾患死は(筋力トレーニング群18%[CI:0.74~0.92]、有酸素運動群35%[CI:0.62~0.69]、有酸素運動+筋力トレーニング群50%[CI:0.46~0.56])、がん死はそれぞれ(15%[0.77~0.95]、24%[0.73~0.80]、40%[0.56~0.65])、慢性下気道疾患死はそれぞれ(24%[0.62~0.93]、58%[0.37~0.47]、71%[0.23~0.37])低かった(上図参照)。
報告者は、「2018 身体活動ガイドラインの推奨基準を満たす身体活動は、生存上の利益と関係していることを示唆している」とまとめている。
「Recommended physical activity and all cause and cause specific mortality in US adults: prospective cohort study」
https://www.bmj.com/content/370/bmj.m2031.long