自分を優しく思いやる心(セルフ・コンパッション)が不眠や孤独感を解消する仕組みを解明!(畿央大学 他)

孤独,不眠,セルフ・コンパッション,有能性,関係性,心理的欲求

 畿央大学の 紅林 佑介 氏らの国際共同研究チームの報告。2025月12月16日 同大学のホームページにて公表。研究成果は「Archives of Psychiatric Nursing」に掲載。

 2024年6月に日本人成人400名(20〜59歳)を対象にオンライン調査を行い、自分を優しく思いやる心(セルフ・コンパッション)、基本的な心理的欲求(自律性、有能性、関係性)の充足度、不眠症状、孤独感を測定し、それらの関係性を詳細に分析。

結果

・ セルフ・コンパッションが高い人ほど、眠りの悩み(不眠)や孤立感(孤独感)が低いことを確認。この影響は、3つの基本的な心理的欲求である、自分の選択を尊重し(自律性)、得意なことを見つけ(有能性)、人との関係を大切にする(関係性)の充足を経由して起こることが明らかになった。

・ 不眠の改善については、セルフ・コンパッションが3つの基本的な心理的欲求を満たすことを通じて、ほぼ全て説明できる(完全媒介)という強力な結果を確認。(上図上参照)
・ 孤独感の改善については、セルフ・コンパッションは、3つの基本的な心理的欲求を満たすという間接的な経路に加えて、孤独感に対して直接的にもプラスの影響を与えていることを確認。(上図下参照)


 報告は、社会への還元と日常生活のヒントとして
・ 良い睡眠のためのヒント
 自分の選択を尊重し(自律性)、得意なことを見つけ(有能性)、人との関係を大切にする(関係性)ことが良い睡眠につながる。
・ 孤独感を和らげるヒント
 上記ヒントに加え、失敗した時に自分を責めすぎず、優しい言葉をかけることが直接的に心を軽くする。
・ ライフスタイル精神医学への貢献
 セルフ・コンパッションを育む支援は、薬だけに頼らない新しい心の健康増進法として期待される。
とまとめている。


「自分を優しく思いやる心(セルフ・コンパッション)が「不眠」と「孤独感」を解消する仕組みを解明」(畿央大学)
 https://www.kio.ac.jp/topics_press/88096/
「From inner care to healthy living: Cross-sectional evidence that self-compassion fulfills basic psychological needs and relates to lower insomnia and loneliness」(Archives of Psychiatric Nursing)
 https://authors.elsevier.com/a/1mApu_K6JVG8ZW