子どもの体力向上には1日「60分以上の中高強度の身体活動を毎日行う」に加え、「2時間以内の娯楽目的のスクリーンタイム」、「9~11時間の睡眠」の組み合わせが大切!(早稲田大学 他)
早稲田大学大学院スポーツ科学研究科の 内藤 隆 氏らの研究グループの報告。2025年12月5日 同大学ホームページにて公表。研究成果は、2025年12月3日に「PLOS One」に掲載。
横浜市内の小学校1校の児童307人が分析対象。体力テスト(握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、20mシャトルラン、50m走、立ち幅跳び、ソフトボール投げの全8種目で構成。各種目のスコア各10点満点および総合体力スコア80点満点で評価)のデータを取得するとともに、質問紙を用いて、① 中~高強度の身体活動の時間・頻度、② 1日あたりの娯楽目的のスクリーンタイム、③ 1日の平均睡眠時間を調査。24時間行動ガイドラインの推奨事項に基づき、3つの生活習慣は、下図のように分類。それぞれ条件を満たしている場合を「遵守」、満たしていない場合を「非遵守」とし、体力レベルと3つの生活習慣(身体活動・座位行動・睡眠)との関連を検討。

以下 主な結果
・ 3つすべての推奨事項を遵守していた子どもは全体の5%(15人)。3つすべてを遵守していない子どもは25%(77人)。
・ 総合体力のスコアは、「身体活動を遵守」、「身体活動とスクリーンタイムの両方を遵守」、「身体活動と睡眠の両方を遵守」、「3つすべてを遵守」が、それぞれ遵守していないに比べて有意に高い結果が示された。特に、身体活動の遵守に加えてスクリーンタイムまたは睡眠のどちらか、あるいは両方を同時に遵守している場合に、より高い総合体力スコアが示された。
・ 個別の体力に関しても、「身体活動を遵守している子ども」は、そうでない子どもに比べて多くの種目で高いスコアを示した。特に、身体活動の遵守に加えて、スクリーンタイムまたは睡眠のどちらか、あるいは両方を同時に遵守している場合には、体幹筋力/持久力・敏捷性・スピード・瞬発力・巧緻性において、より高いスコアを示す傾向を示した。握力(筋力)、長座体前屈(柔軟性)は、関連がみられなかった。
報告は、「毎日60分以上の中~高強度の身体活動が体力向上において重要であることに加え、適切なスクリーンタイムや睡眠を促すことで、子どものさらなる体力向上につながる可能性を示している」とまとめている。
「生活習慣の組み合わせで児童の体力に違い」(早稲田大学)
https://www.waseda.jp/inst/research/news/82990
「Differences in physical fitness levels by adherence to the 24-hour movement guidelines among Japanese elementary school children」(PLOS One)
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0337972
〔参考〕


