「声の若々しさ」は、精神的健康状態や社会的交流と関連!(東京都健康長寿医療センター研究所)

高齢者,社会的交流,,精神的健康

 東京都健康長寿医療センター研究所 小島 成実 氏らの報告。2025年11月28日 同センターホームページにて公表。研究成果は、2025年9月29日に「Journal of Voice」に掲載。

 東京都板橋区に在住する高齢者1,066名(平均年齢77.5歳)が対象。「周りから『声が若い』と言われることがありますか。よくある/たまにある/めったにない」という質問紙調査を行い、「よくある/たまにある」と答えた人を「声が若い」と定義。身体組成(体内水分率など)、握力、喫煙・飲酒習慣、睡眠、口腔衛生、栄養摂取、認知機能、抑うつ傾向、社会交流頻度など多様な要因との関連を検討。

 結果

・ 対象者の55.3%が、「声が若い」と言われることが「よくある」あるいは「たまにある」と回答。
・ 友人や知人と月1回以上の直接交流を持つ人ほど「声が若い」と評価される割合が高かった(オッズ比2.26、95%信頼区間1.74-2.94)。
・ 「WHO-5(精神的健康状態表)*」で評価される精神的健康状態が良好である人ほど「声が若い」と評価される割合が高かった(オッズ比1.05、95%信頼区間1.03-1.08)。
・ その他は統計的に有意な関連を示さなかった。


 報告は、「『声の若々しさ』が心身の健康や社会的交流と関連していることを初めて明らかにした。声は誰もが日常的に意識できる特徴であり、「声の若さ」が心身の健康や社会的つながりの維持に関わる可能性が示された」とまとめている。


* WHO-5(精神的健康状態表)
 世界保健機関(WHO:World Health Organization)が作成した質問票で、気分の落ち込みや生活への満足度などを点数化したもの。得点が高いほど精神的に健康であることを示す。


「心の健康と社会的交流が良好な高齢者ほど、声が若々しい傾向に」(東京都健康長寿医療センター研究所)
 https://www.tmghig.jp/research/release/2025/1128.html
「Factors Associated with Being Perceived as Vocally Young in Older Adults」(Journal of Voice)
 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0892199725003807