高齢者の身体活動量は、外出時間より、外出頻度と関連(大阪公立大学大学院 他)

 大阪公立大学大学院 リハビリテーション学研究科 上村 一貴 氏 らの研究グループの報告。2022年7月9日「Geriatric Nursing」に掲載。

 富山県の65歳以上の高齢者133名(平均73.1歳、男性48名、女性85名)を対象に、GPSと加速度計を用いた行動分析を14日間行い、外出行動パターンと身体活動量の調査を実施した結果。

 1日当たりの平均の外出時間は3.5時間、滞在地点数は2.5カ所。日常生活で自動車を運転する人の割合は91%。外出時間・滞在地点数のいずれも多いほど歩数も多いという正の相関関係を示した。しかし、年齢、性別、教育年数、体格、全般的認知機能、身体機能(歩行速度)の影響を取り除いた多変量解析の結果、滞在地点数のみが身体活動量(歩数・身体活動レベル)に関連。滞在地点(外出先)1カ所につき、歩数は1,324歩(95%信頼区間622-2,026)、身体活動レベルは0.05(95%信頼区間0.02-0.09)増える関係性を示した。(下図参照)

 報告は、「今回のデータでは外出目的や移動手段は不明だが、(仮に車移動でも)スーパーマーケットや公共施設など外出先での活動が積み重なり、身体活動の増加につながったことが予想される。健康づくりのために身体を動かすことを奨める際、単に「外に出ましょう!歩きましょう!」という呼びかけのみではなく、外出の多様性(目的地の多さ)の視点での評価・介入が重要であることが考えられる」 とまとめている。


「外出時間<外出先の数が影響 外出先の数が多い高齢者ほど、活動量が多いことが明らかに」(大阪公立大学)
 https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-01509.html


〔管理者コメント〕

 皮肉なことですが、大阪府は新型コロナウイルス感染予防対策として2022年7月28日から8月27日まで、高齢者に不要不急の外出自粛を求めています。