身体活動量が十分でも座位時間が長いとアルツハイマー型認知症のリスクは高くなる!

(アイキャッチ画像、上図は本文とは直接は関係ありません)

 米ピッツバーグ大学医学部の Marissa A. Gogniat 氏らの報告。研究成果は、2025年5月13日に「Alzheimer’s & Dementia」に掲載。

 50歳以上の404人(平均年齢71±9歳、男性54%)が対象。対象者の79%は、ベースラインの時点で認知障害なし。3分の1はAPOE-ε4陽性。87%は、米国疾病管理予防センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)推奨ガイドラインの週150分の中高強度身体活動(MVPA:Moderate and Vigorous Physical Activity)を満たし、平均MVPA時間は1日あたり61±38分。中高強度身体活動は座位行動と強く逆相関していた。平均座位時間は1日あたり807分(13時間)。平均追跡期間は4.7±2年。研究期間中、認知症を発症した対象者は27名。横断的および縦断的に、座位時間と脳構造および認知機能との関連を検証。

 結果

 座位時間が長いことは、嗅内皮質や中側頭皮質などのアルツハイマー病に関連する脳領域の皮質厚の減少、およびエピソード記憶の低下と有意な関連を示した。ただし、エピソード記憶との関連は中高強度身体活動で調整すると有意ではなくなった。これらの関連は、アルツハイマー病の遺伝的リスク因子であるAPOE-e4の保有者において特に顕著だった。一方、長期追跡データに基づく縦断解析からは、座位時間が長いほど、記憶を司る海馬の体積の減少速度が速く、また、言葉を思い出す能力と情報を処理する能力の低下速度が速いことが明らかになった。


 報告は、「座りっぱなしの行動はアルツハイマー病の独立した危険因子。特にアルツハイマー病の遺伝的リスクがある高齢者の場合、座位時間を減らすことの重要性を裏付けている」とまとめている。



「Increased sedentary behavior is associated with neurodegeneration and worse cognition in older adults over a 7-year period despite high levels of physical activity」(Alzheimer’s & Dementia)
 https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/alz.70157