高齢者の趣味の種類および数と認知症の関係(千葉大学 他)

 千葉大学のLing Ling氏らはによる趣味の種類および数と認知症発症との関連を調査した結果。日本公衆衛生雑誌2020年号に記載。
 2010~16年に日本老年学的評価研究(JAGES:Japan Gerontological Evaluation Study)が実施したプロスペクティブコホート研究より、年齢、性別が明らかな65歳以上の要介護認定を受けていない高齢者5万6,624人のうち、趣味に関連する質問に回答した患者で、365日以上フォローアップできた4万9,705人が対象。
 主要アウトカムは、認知症の発症。認知症の発症は、厚生労働省の推奨する全国的に標準化された認知症スケールにより評価。説明変数は、実践者の割合が5%以上の趣味の種類(男性:14種類、女性:11種類)およびその数(0~5種類以上)。共変量は、基本属性、疾患、健康行動、社会的サポート、心理・認知機能、日常生活動作とした。合計22の変数を調整したCox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比(HR)を算出。

 以下は主な結果

・ フォローアップ期間中に認知症を発症した高齢者
 男性 2,068人(9.0%)
 女性 2,690人(10.1%)
 合計 4,758人(9.6%)

・ 認知症発症リスクの低下と関連していた趣味は以下のとおり
 男性 グランドゴルフ(HR:0.80)
    旅行(HR:0.80)
    ゴルフ(HR:0.61)
    パソコン(HR:0.65)
    釣り(HR:0.81)
    写真撮影(HR:0.83)

 女性 グランドゴルフ(HR:0.80)
    旅行(HR:0.76)
    手工芸(HR:0.73)
    園芸・庭いじり(HR:0.85)

・ 趣味の種類の数と認知症発症との関係は下図のとおり

 報告者は「グランドゴルフや旅行を趣味とする高齢者は認知症発症リスクが低く、また趣味の数が多いほど認知症リスクの低いことが示された。高齢者が多様な趣味活動に取り組める機会や場所を提供することで、地域づくりによる認知症予防を効果的に進められることが示唆された」とまとめている。

日本公衆衛生雑誌
高齢者の趣味の種類および数と認知症発症:JAGES 6年縦断研究
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jph/67/11/67_19-046/_article/-char/ja/


〔管理者コメント〕

 高齢者が多様な趣味活動に取り組める機会や場所があり、自然に認知症が予防できる街に住みたいです。