千葉大学予防医学センターの研究グループの報告。2025年3月5日同大学ホームページにて公表。研究成果は、2025年2月5日「Scientific Reports」に掲載。
2022年4~5月に、柏の葉エリアに暮らす273名の成人(男性111名、女性161名、年齢層は36~45歳が最も多く全体の29.7%)が対象。調査のために用意されたスマートフォンアプリのプログラムを用いた経験サンプリング法*1により、個人属性と日常で感じる居心地の良い場所、不快な場所、その時の気持ちに関する計900件のデータを収集。このデータをもとに、個人属性と瞬間的ウェルビーイング*2および長期的ウェルビーイング*3との関連を解析。
結果

場所としては公共空間(公園や広場)、飲食店、文化・スポーツ・教育施設、環境の特性としては、自然、リラックス・清潔、コミュニケーションのしやすい特徴を持つ場所で過ごす際に、瞬間的・長期的なウェルビーイングが高いことが示された。(上表参照)
報告は、「この成果は、ウェルビーイングの向上に焦点を当てた都市計画や政策立案のためのエビデンスとして活用されることが期待される」とまとめている。
*1 経験サンプリング法
一般社団法人日本経験サンプリング法協会により、調査対象者が日常生活を送る中で、一日数回×数日間にわたって繰り返しデータを取得するという縦断的な調査手法のこと。対象者がその瞬間に経験していることを記録するため、リコールバイアス(記憶の偏り)を抑制することができる。
*2 瞬間的ウェルビーイング
日常の経験に対する即時的な感情反応であり、気分、リラックス感、疲労感などを含む多面的な概念。
*3 長期的ウェルビーイング
長期間にわたる人生満足度、人生の目的、人生の意義などに対する全体的な認識。
「ウェルビーイングを育むまちの特徴が明らかに〜ウェルビーイングを重視した都市計画や政策立案に活用を〜」(千葉大学)(PDFファイル)
https://www.chiba-u.jp/news/files/pdf/250305_wellbeing.pdf
「Perceived urban environment elements associated with momentary and long-term well-being: An experience sampling method approach」(Scientific Reports)
https://www.nature.com/articles/s41598-025-88349-x