(アイキャッチ画像および上図は、本文とは直接は関係ありません)
早稲田大学スポーツ科学学術院の 渡邉 大輝 氏らの報告。2024年11月20日 早稲田大学のホームページで公表。研究成果は、2024年11月15日「International Journal of Obesity」に掲載。
2011年から京都府亀岡市で行われている介護予防の推進と検証を目的とした前向きコホート研究である京都亀岡スタディに参加した10,232名が対象。
BMIは質問票の回答による身長と体重から算出し、<18.5、18.5–21.4、21.5–24.9、25.0–27.4および≥27.5 kg/m2の5グループに分類。フレイルは厚生労働省が作成した基本チェックリストを用いて評価。BMIを評価してから中央値で5.3年間追跡調査をおこない、介護認定と死亡の発生状況を調査。さらに、BMIと障害生存期間※の関係を分析。
主な結果
・ フレイルおよびフレイルでない高齢者どちらにおいても、体格の指標であるBMI(Body Mass Index)が22.5–23.5 kg/m2で最も介護認定を受けるリスクが低いことが示された。
・ BMI<18.5 kg/m2の者(やせ)は、介護認定を受ける前に死亡する可能性が高く、一方でBMI ≥27.5 kg/m2の者は障害生存期間が長いことが示された。
・ フレイルを有するBMI ≥27.5 kg/m2の者はフレイルを持たないBMI ≥27.5 kg/m2の者よりも障害生存期間が大幅に長いことが示された。
報告は、「BMIに関係なくフレイルの者は非フレイルの者よりも無障害生存期間が短いことを示しており、BMIを高くしてもフレイルに関連して増加する介護認定リスクを完全に相殺できないことを示している。これはフレイルを有する高齢者では最適なBMIを達成することよりも、フレイル度を改善することを優先する必要があることを示唆している」とまとめている。
※ 障害生存期間
全寿命と健康寿命の差の期間のこと、介護や支援が必要な状態で生存している期間。
「高齢者の健康寿命延伸に最適な体格は?」(早稲田大学)
https://www.waseda.jp/inst/research/news/79024
「Is a higher body mass index associated with longer duration of survival with disability in frail than in non-frail older adults?」(International Journal of Obesity)
https://www.nature.com/articles/s41366-024-01681-6