不眠症に対する認知行動療法として、リラクゼーションは逆効果の可能性!(東京大学、京都大学、江戸川大学 他)

 東京大学 古川由己 氏らの報告。2024年1月18日 京都大学、筑波大学、国立精神・神経医療研究センター他のホームページで公表。研究成果は、2024年1月17日「JAMA Psychiatry」に掲載。

 系統的レビューを行い、公表されている臨床試験に関する論文の中から、成人(18歳以上)の不眠症に対する治療法として認知行動療法(CBT-I:Cognitive Behavioral Therapy for Insomnia)と別の手法あるいは対照群とを比較したランダム化比較試験の論文241(不眠症の対象31,452名、平均年齢45歳、女性68%)を抽出。要素ネットワークメタアナリシスを用い解析した結果。

 これまで単独での有効性が示唆されていた睡眠制限法(横になる時間を短くすることで深く眠れるようにする)と刺激統制法(寝床と睡眠の関連付けを強くすることで眠れるようにする)に加え、認知再構成(不眠に関する有害な思い込みを和らげる)やマインドフルネス(不眠への不安を受け入れる)、対面提供(セラピストが対面で治療する提供方法)の有効性が示された。一方、睡眠環境を調整する睡眠衛生指導や、筋肉を意図的に弛緩させるなどのリラクゼーション法の有効性は示されなかった。(上表参照)

 報告は、「睡眠制限法、刺激統制法、認知再構成、マインドフルネスが睡眠を改善する一方で、睡眠衛生指導だけでは無効であり、リラクゼーションは逆効果の可能性があることが示唆された。本研究が、より効果的かつ効率的なプログラムの開発に繋がることが期待される」とまとめている。


「不眠症に対する認知行動療法の有効な要素を解明」(京都大学)
 https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-01-18-0
「Components and Delivery Formats of Cognitive Behavioral Therapy for Chronic Insomnia in Adults」(JAMA Psychiatry)
 https://jamanetwork.com/journals/jamapsychiatry/fullarticle/2814164