20歳未満の「神経性やせ症」はコロナ前より依然高い水準!「自殺企図」の新規入院患者数は、コロナ前の約1.7倍に!(国立成育医療研究センター)

 国立研究開発法人 国立成育医療研究センターが行っている子どもの心の診療ネットワーク事業。2023年4月~6月末に新型コロナウイルス感染症流行下の子どもの心の実態調査を実施した結果。2023年11月14日国立成育医療研究センターホームページにて公表。

 全国31病院(32診療科)にアンケートを送付し、20歳未満の患者について回答を得た。アンケートの内容は、神経性やせ症や希死念慮などの初診外来患者数や新規入院患者数、神経性やせ症の病床充足率など。「神経性やせ症」初診外来患者数推移は、神経性やせ症と神経性過食症を合算して回答した2病院および、4年度分すべての調査結果がそろっていない6病院を集計から除外した23病院(24科)。新入院患者数推移は、18病院(18科)。 「希死念慮、自殺企図」初診外来患者数推移は、希死念慮および自殺企図の区別がなかった1病院は両方に組み込み集計。また、2019年度から2022年度の4年間分の希死念慮・自殺企図の項目に回答がない15病院(16科)は集計から除外し、16病院(16科)の調査結果を、新入院患者数推移は、14病院(14科)をまとめた結果。

主な結果のポイント

〔神経性やせ症〕

 コロナ禍で、食事を食べられなくなる神経性やせ症が増加。2020、2021年度に引き続き2022年度も初診外来患者数、新入院患者数ともに、調査を開始した2019年度よりも高い水準で高止まり。(上図は、神経性やせ症の新入院患者数の推移)

〔希死念慮・自殺企図〕

 コロナ禍で、希死念慮、自殺企図が増加。(上図は、自殺企図の新規入院患者数の推移)
 女性の希死念慮では、2019年度から2022年度で初診外来患者が約1.7倍(98人→166人)、新入院患者数が約1.8倍(84人→148人)。
 また女性の自殺企図では、2019年度から2022年度で初診外来患者数が約2倍(44人→86人)、新入院患者数が約1.6倍(65人→104人)。特に女性の増加が顕著。
 自殺者数、自殺企図、希死念慮の患者数が増加していることから、さらに多くの子ども達が潜在的に何らかリスクを抱えていると考えられ、子ども達へのメンタルヘルスに関する対策および支援が早急に必要と考えられる。


「神経性やせ症」はコロナ前より依然高い水準に留まる 「希死念慮」の初診外来患者数は、コロナ前の約1.6倍に ~2022年度コロナ禍の子どもの心の実態調査~(国立成育医療研究センター)
 https://www.ncchd.go.jp/press/2023/1114.html


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