高齢者への移動支援は「外出」だけでなく「こころ」、「人とのつながり」まで好影響を及ぼす!(千葉大学予防医学センター)

 千葉大学予防医学センターの 近藤 克則 氏、花里 真道 氏らの研究グループの報告。2023年10月25日千葉大学のホームページで公表。研究成果は 2023年10月24日「老年社会科学」に掲載。

 2021年度にヤマハ発動機株式会社が2市3地域(大阪府河内長野市南花台地区、千葉県松戸市河原塚地区・小金原地区)で実施した約8週間の電動カート(時速20km未満で公道を走ることができる電動カート)の導入事業に参加し、導入前後の自記式調査に回答した電動カート利用者、非利用者からなる65歳以上の高齢者599人が対象。電動カート利用者149名、非利用者450人の外出(外出、行動範囲、歩く)・人とのつながり(家族と話す、家族以外の人と話す、助け合い、地域活動参加)・こころ(楽しみ・生きがい・笑い)の主観的変化の関連を検証。

 電動カート利用者は、非利用者と比較し、導入前後で
・ 外出機会、行動範囲の増加:1.7~1.9倍
・ 家族・家族以外と話す機会、助け合い、地域活動参加:2.8~5.2倍
・ 楽しみ、生きがい、笑い、明るい気持ちの増加:2.1~2.6倍
の主観的な変化を感じていることがわかった。(上表参照)

 報告は、「電動カートは外出、こころ、人とのつながりに良い変化をもたらす“動く交流の場“のような機能をもち、移動支援に留まらない地域の課題を解決する可能性が示された。今後、電動カート運行の継続、対象者の長期追跡により、電動カート利用による要介護リスク、社会保障費用抑制についての検証も必要となると考えられる」とまとめている。


「高齢者の移動支援における新たな可能性の検証 電動カート(グリスロ)は”動く交流の場”!?」(千葉大学)
 https://www.chiba-u.ac.jp/others/topics/info/_192152.html