低出生体重児を減らすためには、医学的な要因(疾患、病歴)・身体的な要因(年齢、体重 等)だけではなく環境要因も重要!鉛へのばく露を減らし、母の妊娠中の喫煙をなくせば約27%減らせることを示唆(国立環境研究所 他)

 国立研究開発法人国立環境研究所 西浜 柚季子 氏らの報告。2022年11月22日ホームページにて公表。研究成果は2022年10月6日「Environment International」に掲載。

 エコチル調査(子どもの健康と環境に関する全国調査)によって得られたデータのうち、出産(生産)、単胎、血液および尿試料がそろっている条件に該当する91,559組の母子のデータが解析対象。

 質問票から、出産時の母の年齢、母の妊娠前BMI、出産回数、子宮腺筋症の既往歴、妊娠中の体重増加量、防虫・防カビ剤の使用、カフェインの摂取量、栄養状態のデータを、血液および尿試料の分析結果より、血中元素(水銀、セレン、鉛、マンガン)濃度と、喫煙状況を反映する尿中コチニン濃度のデータを収集。集めた要因について、それぞれの低出生体重(2,500g未満)に対する相対危険度を推定し、その相対危険度と、その要因を持つ母親の割合を用いて人口寄与割合を算出。

 結果

 低出生体重と関連があった要因は、出産回数、子宮腺筋症の既往歴、妊娠高血圧症候群、出産時の母の年齢、母の妊娠前BMI、妊娠時の体重増加量、鉛へのばく露、母の妊娠中の喫煙。これらの人口寄与割合の総計は79.4%。妊娠中の体重増加量が8kg未満であることが、低出生体重に最も大きな影響を与えていた(人口寄与割合16.5%)。また、環境要因である鉛へのばく露と母の妊娠中の喫煙を合わせた人口寄与割合は26.7%で、妊娠中の体重増加量(8kg未満)を上回っていた。(上図参照)

 報告は、「低出生体重児を減らすためには、医学的な要因(疾患や病歴)・身体的な要因(出産年齢や妊娠前・中の体重等)だけではなく、環境要因も重要であることが示された。鉛へのばく露を減らし、母の妊娠中の喫煙をなくせば、低出生体重児を約27%減らせることを示唆している」とまとめている」とまとめている。


「低出生体重に関連する要因それぞれの効果の大きさについて:子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」
 https://www.nies.go.jp/whatsnew/20221122/20221122.html