BMIが低いと肺がんリスクが高くなる(多目的コホート研究)

 平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、新潟県長岡、茨城県水戸、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2019年現在)管内在住者のうち、がんになっていなかった40歳から69歳の男女92,098人を対象に実施したアンケート調査と、その対象者を平成25年(2013年)まで追跡した調査結果に基づいて、体格と肺がん罹患との関連を調査した結果。Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2021年6月Web先行公開。

 BMIは、アンケート調査の回答から得られた体重と身長から算出し、5つのグループ(19kg/m2未満、19.0-22.9 kg/m2、23.0-24.9 kg/m2、25.0-26.9 kg/m2、27.0kg/m2以上)に分けた。また、体重変化は、20歳時の体重とアンケート回答時の体重が5kg以上変化しているかによって、体重減少、体重変化なし、体重増加の3つのグループに分けた。そのうえで、BMI23.0-24.9kg/m2のグループを、体重変化なしの基準として、その他のグループのその後の肺がんリスクを比較。肺がんの組織型(腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、その他)別にも検討。

 平均19.1年の追跡期間中に、2,152人が肺がんに罹患。男性では、BMIが低いグループで肺がんリスクが統計学的有意に高い結果。肺がんの組織型別にみた場合、腺がんでその関連が顕著だったが体重変化では関連はみられなかった(上図上段)。女性では、統計学的有意ではなかったが、BMIが低いと肺がんの罹患リスクが高い結果。さらに、肺がんの組織型別に見ると、BMIが最も低いグループで扁平上皮がんの罹患リスクが高い結果(上図下段)。また、体重変化では20歳時から体重が減少したグループで、扁平上皮がんの罹患リスク増加がみられ、体重が増加したグループでは、小細胞がんのリスク増加がみられた。身長と肺がんの罹患リスクとは、男女ともに、関連がみられなかった。

 報告者らは「BMIの低下が、性別に関係なく、喫煙関連の肺がんのリスク増加と関連している可能性があることを示唆している」とまとめている。


「体格と肺がん罹患リスクについて」(多目的コホート研究)
 https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8772.html
「Body Mass Index, Height, Weight Change, and Subsequent Lung Cancer Risk: The Japan Public Health Center-Based Prospective Study」
 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34172462/


〔管理者コメント〕

 アンケートのデータに喫煙習慣の有無はあるはずなのに、なぜ比較検討しない?