女性は中高強度身体活動が1日28分以上でロコモティブシンドロームのリスクが低下。男性はその傾向が認められなった!(東京電機大学 他)

 東京電機大学未来科学部の 石原 美彦 氏らによる報告。2022年7月3日「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載。

 千葉県北西部(印西市、佐倉市、酒々井市、成田市、富里市)から、チラシやポスターを通じて募集した高齢者から筋骨格系の疾患がある人、中強度以上の身体活動に制限のある人、レジスタンストレーニングやサイクリングなどの運動を継続的に行っている人、60歳未満または80歳以上の人などを除外た80人(男性と女性が各40人)が対象。

 対象者は、リストバンドタイプの三軸加速度計を9〜14日間、入浴と睡眠時を除いて連続使用。その記録を基に、1.1METsを「安静」、1.1~1.4METsを「座位行動」、1.5~2.9METsを「立位行動」、3.0~5.9METsを「中強度運動」、6METs以上を「高強度運動」と定義して、それぞれの時間を把握。「安静」と「座位行動」の合計を「RSB(resting and sitting behaviors)」、「中強度運動」と「高強度運動」の合計を「MVPA(moderate to vigorous physical activity)」として、ロコモティブシンドロームとの関連を検討。

 ロコモティブシンドロームの該当/非該当は、日本整形外科学会の定義に基づき、立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25の結果から判定。その他、生体インピーダンス法による体組成、膝伸筋の筋力を測定。

結果
 ロコモティブシンドロームの該当者率は51.3%(男性50.0%、女性52.5%)。

 平均歩数および中程度から活発な身体活動(MVPA)に費やした時間は、女性は、ロコモ群よりも非ロコモ群の方が有意に高かった。男性にはみられなかった。

 ロジスティック回帰分析では、平均歩数および中強度以上の身体活動(MVPA)に28分/日以上かけることは、28分/日未満と比較して、女性はロコモティブシンドロームのリスク低下に有意に関連(OR 0.12,95%CI 0.02-0.59)。男性に関連はみられなかった。(上図参照)

 報告は、「女性でMVPAの時間が長い高齢者はロコモティブシンドロームの該当率が低く、男性ではこの関連がみられなかった。ロコモティブシンドロームと日々の身体活動量との関連には性差が存在していると考えられ、女性においてはMVPAがロコモ予防につながる可能性がある」とまとめられている。


「Association between Daily Physical Activity and Locomotive Syndrome in Community-Dwelling Japanese Older Adults: A Cross-Sectional Study」
 https://www.mdpi.com/1660-4601/19/13/8164/htm