高齢者における余暇の運動の種類と全死因および心血管疾患、がんによる死亡リスクの検討 -全死亡と心血管疾患はラケットスポーツ、がんはランニングで死亡リスクが最低-

 米国立がん研究所の Eleanor Watts 氏ら報告。2022年8月24日「JAMA Network Open」に掲載。

 米国立衛生研究所と全米退職者協会が実施した、食事と健康に関する研究の2004~2005年登録者を2019年末まで追跡。最終的にフォローアップアンケートに回答した27万2,250人(平均年齢70.5±5.4歳、男性58%)のデータを解析。

 フォローアップアンケートでは、過去1年間に(1)ジョギングまたはランニング(2)サイクリング(固定式自転車を含む)(3)水泳(4)その他の有酸素運動 (例: エアロビックダンス、エクササイズマシン)(5)ラケットスポーツ(テニス、スカッシュ、ラケットボール)(6)ゴルフ (7)運動のためのウォーキング。を行うために費やした1週間あたりの平均時間を調査。

 調査結果より1週間あたりの平均METs・時を推定。死亡リスクに影響を及ぼし得る因子を調整後、「運動を行っていない群」と「運動を週7.5~15.0METs・時行っている群」の死亡リスクを比較検討。

結果

 期間中(12.4±3.9年)に、11万8,153人(43%)が死亡。

 「運動を週7.5~15.0METs・時行っている群」は「運動を行っていない群」と比較して、検討したすべての運動において死亡率が有意に低下
・ ジョギング・ランニング 15% ハザード比(HR)0.85(95%信頼区間0.78~0.92)
・ サイクリング 3% HR0.97(0.95~0.99)
・ 水泳 5% HR0.95(0.92~0.98)
・ その他の有酸素運動 7% HR0.93(0.90~0.95)
・ ラケットスポーツ 16% HR0.84(0.75~0.93)
・ ゴルフ 7% HR0.93(0.90~0.97)
・ 運動のためのウォーキング 9% HR0.91(0.89~0.93)

 一方、死因別(心血管疾患、がん)では運動の種類により違いがあることも分かった。
 心血管疾患は、ラケットスポーツで 27% HR0.73(0.59~0.89)、運動のためのウォーキングで 11% HR0.89(0.86~0.92)低下。がんは、ジョギング・ランニングで 19% HR0.81(0.69~0.95)、その他の有酸素運動で 9% HR0.91(0.86~0.97)低下 など
(上図参照)

 報告は、「中等度から高強度のあらゆるタイプの余暇活動での週7.5~15.0METs・時の運動と高齢者の死亡リスクの間には有意な関連があった」とまとめている。


「Association of Leisure Time Physical Activity Types and Risks of All-Cause, Cardiovascular, and Cancer Mortality Among Older Adults」
 https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2795598