多目的コホート研究(JPHC Study:Japan Public Health Center-based prospective Study)の報告。2022年9月21日ホームページにて公表。研究成果は2022年8月24日「Cancer Science」に掲載。
平成7年(1995年)と平成10年(1998年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所(呼称は2019年現在)管内に在住の45~74歳のうち、アンケート調査に回答し、がんの既往がなかった男女80,272人が対象。平成27年(2015年)まで追跡した調査結果にもとづいて、胃内視鏡検査による胃がん検診と、胃がん死亡・罹患との関連を調べた結果。
追跡期間中(中央値;13.0年)に、1,977例が胃がんと診断され、さらにそのうち783例が胃がんにより死亡。
内視鏡検査群の胃がんによる死亡率は 61%(ハザード比 [HR] =0.39[95%CI:0.30–0.51])減少。X線検査群の胃がんによる死亡率は37%(HR=0.63[95%CI:0.54–0.73])減少させたが、その有効性は内視鏡スクリーニングよりも低かった。(上図左参照)
進行胃がんの発生率は22% (HR=0.78 [95%CI:0.67–0.90]) 減少。(上図右参照)
報告は、内視鏡検査により、進行胃がんの発生率と胃がんによる日本人の死亡率が減少した。胃がんによる死亡率の低下に対する内視鏡検査の有効性は、胃X線検査よりも大きかった」とまとめている。
「Effectiveness of endoscopic screening for gastric cancer: The Japan Public Health Center-based Prospective Study」
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/cas.15545