日頃の階段の利用が多いと心房細動罹患リスクが低い(国立循環器病研究センター)

 国立研究開発法人国立循環器病研究センター健診部の小久保 喜弘 氏らの報告。2022年3月4日「Environmental Health and Preventive Medicine」に掲載。

 日常生活の中の簡便な身体活動の指標として、階段の利用率を想定し、階段の利用が多いと心房細動の予防につながるかどうか検討した結果。

 対象は、吹田研究(国立循環器病研究センターが1989年より実施しているコホート研究)参加者の30~84歳の都市部一般住民のうち、ベースライン調査時に心房細動の既往歴のない6,575名(男性3,090名、女性3,485名)。

 ベースラインアンケートで”階段とエスカレーターまたはエレベーターのある公共・民間建物では、3階以上の高さに上るために普段何を使っていますか?”という質問に対して「ほとんど階段を使う(階段≧80%)」、「エスカレーターやエレベーターよりも階段を使う(階段60~79%)」、「半々(階段40~59%)」、「階段よりもエスカレーターやエレベーターを使う(階段20~39%)」、「エスカレーターやエレベーターをほとんど使う(階段20%以下)」で回答。60~79%、≧80%は人数が比較的少なかったため、≧60%群に統合して「<20%群」(1,586人)、「20-39%群」(1,596人)、「40-59%群」(1,773人)、「≧60%群」(1,620人)の4群に分類。平均14.7年の追跡期間中に295名が心房細動と新たに診断された。

 結果、心房細動罹患リスクは、「<20%群」を基準とした場合、「20-39%群」はハザード比(HR)0.92((95%信頼区間0.66-1.27)、「40-59%群」は0.93(0.68-1.28)、「≧60%群」は0.69 (0.49-0.98)。(上図参照)

 報告は、「3階以上への頻繁な階段登りは、心房細動のリスクの低下と関連している可能性がある。健康的なライフスタイルを送ることで心房細動を回避する可能性が高い。階段登りの促進は、集団の健康への影響をもたらすことが示された取り組みで、定期的に階段を上ることを奨励されるべきである」とまとめている。


「日頃の階段の利用が多いと心房細動罹患リスクが低い:都市部地域住民を対象とした吹田研究」(国立循環器病研究センター)
 https://www.ncvc.go.jp/pr/release/pr_31844/


〔管理者コメント〕

 階段の利用は、単に身体活動量であれば利用すれば利用するほど増加しますが、筋持久力や筋力への効果を考えると、どうも3階または4階以上の利用が鍵のように感じます。