歩行速度と心不全リスク -速く歩く女性は心不全リスクが低い-

 米国ブラウン大学Moafi-Madani Miremadらの報告。2022年1月20日JAGS(Journal of the American Geriatrics Society)に掲載。

 1993年から1998年のWomen’s Health Initiativeコホート研究登録者のうち心不全、がん、1ブロック歩くのが困難でなく歩行速度、歩行時間に関する情報を有していた50~79歳の閉経後女性25,183人が対象。

 歩行速度(「遅い」群 <2 mph(時速約3.2㎞未満)、「普通」群 2-3 mph(時速約3.2から約4.8㎞未満)、「速い」群 >3 mph(時速約4.8㎞以上))と心不全発症の関連などを検討。

 平均追跡期間16.9年の間に1,455件が心不全により入院。

 結果、「普通」群、「速い」群は「遅い」群と比較して心不全のリスクがそれぞれ27%および34%低く、逆相関を示した(「普通」群と「遅い」群はHR = 0.73, 95% CI [0.65, 0.83]、「速い」群と「遅い」群はHR = 0.66, 95% CI [0.56, 0.78] )。(上図参照)
 歩行時間が1時間/週未満の「速い」群に関連する心不全リスクは、歩行時間が2時間/週以上の「遅い」群および「平均」群の心不全リスクと同程度だった。

 報告は、「歩行速度と心不全リスクは逆相関していた。高齢者の歩行速度を上げるための介入は心不全リスクを下げるか否か、また、速い歩行速度が短い歩行時間を補うか否かは、今後の研究によって明らかにされる必要がある」とまとめている。


「The association of walking pace and incident heart failure and subtypes among postmenopausal women」
 https://agsjournals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgs.17657