歯を失うと認知症リスクが高くなるメカニズムが明らかに!-男性は人との交流、女性は果物・野菜の摂取などが媒介-(東北大学大学院)

 東北大学大学院歯学研究科 木内 桜氏らの報告。2021年11月19日「Journal of Dental Research」に掲載。

 日本老年学的評価研究機構のデータから2010年(ベースライン)、2013年、2016年の調査に回答した人のうち2013年以前の認知症発症例などを除いた65歳以上の3万5,744例(女性54%)が解析対象。

 対象の平均年齢は男性が73.1±5.5歳、女性が73.2±5.5歳、ベースライン時点で1万3,580例(38%)が20本以上の歯を有しており、1,776例(5%)が2013〜16年に認知症を発症。

 多変量解析の結果、歯の喪失が認知症発症と有意に関連〔ハザード比(HR)1.14、95%CI 1.01〜1.28〕。媒介変数による間接影響のHRは1.03(95%CI 1.02〜1.04)。各変数の媒介割合は、特に、男性では特に友人・知人との交流人数(13.79%)、女性では野菜や果物摂取(8.45%)が残存歯の本数と認知症発症の因果関係を媒介する役割を果たしていた。(下図参照)

 報告は、「6年間の縦断研究の結果、歯の喪失と認知症発症との間には有意な関連が見られた。口腔内の健康状態の維持が人との交流といった社会関係の維持や栄養摂取の維持につながる可能性も示唆された」とまとめている。


「Oral Status and Dementia Onset: Mediation of Nutritional and Social Factors」
 https://journals.sagepub.com/doi/abs/10.1177/00220345211049399