高齢者の30分未満の昼寝は認知機能低下のリスクを軽減する(新潟大学大学院)

 新潟大学大学院医歯学総合研究科環境予防医学分野の中村和利氏らの研究結果。2021年8月28日「BMC Geriatrics」に掲載。

 新潟県小千谷市に住む介護保険を利用していない65歳以上の389人(平均年齢74.6±6.4歳)の地域在住者が対象。

 看護師が対象者を訪問して、認知機能を評価するとともに、健康状態や生活習慣・環境、昼寝を含む睡眠習慣、疾患既往歴などをベースライン時(2011年~2013年)と5年後の追跡調査時(2016年~2018年)に聞き取りにて実施。認知機能の評価は、改訂された長谷川の認知症スケール(HDS-R)(30点満点)を使用。認知機能の低下は、5年間でHDS-Rの変化が3点以上低下していた場合を「認知機能が低下した」と判定。日中の昼寝の時間は「なし」群、「30分未満」群、「30〜59分」群、「60分以上」の4群に分類。認知機能低下のオッズ比(OR)は、多重ロジスティック回帰分析を使用。

 「30分未満」群の調整済みオッズ比(OR)は、「なし」群と比較して有意に低かった(OR = 0.47、95%CI:0.23〜0.96)。「30〜59分」群はOR0.79(同0.40~1.58)、「60分以上」群はOR1.05(同0.51~2.13)で有意差はなかった。(上図参照)

 報告は、「30分未満の短い昼寝は、高齢者の認知機能低下のリスクを軽減する。短い昼寝が臨床的に診断された認知症のリスクを低下させるかどうかを判断するには、さらなる研究が必要」とまとめている。


「Short daytime napping reduces the risk of cognitive decline in community-dwelling older adults: a 5-year longitudinal study」
 https://bmcgeriatr.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12877-021-02418-0#Tab2