筋力トレーニング後の必須アミノ酸と茶カテキンの摂取は高齢者の身体能力を向上させる(徳島大学先端酵素学研究所)

 徳島大学先端酵素学研究所の森博康氏らの研究。「Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition」2021年6月号に掲載。

 兵庫県在住の高齢者(65歳以上)から募集した、サルコペニア、糖尿病、および腎臓病のない84人の健康な人が対象。下記の3群に分けて24週間の介入の非盲検ランダム化比較試験を実施。

「筋トレ群」(n=28)・・・1回1時間の筋力トレーニング指導を週に2回実施
「筋トレ+必須アミノ酸摂取群」(n=28)・・・1回1時間の筋力トレーニング指導を週に2回実施に加えて、ロイシンが高配合された必須アミノ酸3,000mg、うちのロイシンは1,200mgの試験食をトレーニング終了後30分以内に摂取
「筋トレ+必須アミノ酸および茶カテキン摂取群」(n=28)・・・ 1回1時間の筋力トレーニング指導を週に2回実施に加えて、ロイシンが高配合された必須アミノ酸(3,000mg)の試験食と高濃度茶カテキン(540mg)の試験食をトレーニング終了後30分以内に摂取。

 筋力トレーニングは、20分間のウォームアップと40分間の筋力トレーニング。筋力トレーニングの内容は、自重負荷トレーニングとゴムバンドを使ったトレーニング。下半身の自重負荷運動は、椅子からの立ち上がりと座り、レッグエクステンションを実施。ゴムバンドトレーニングは、上半身と下半身のトレーニングで構成。

 ベースラインにおいて3群間で、年齢、男女比、BMI、ふくらはぎ周囲長、栄養状態、1日の歩数に有意差はなし。介入期間中、筋肉量や筋力に影響を及ぼし得るタンパク質の摂取量が、全群とも1.2g/kg/日以上となるように管理。最終的に6名(「筋トレ群」2名、「筋トレ+必須アミノ酸摂取群」1名、「筋トレ+必須アミノ酸および茶カテキン摂取群」1名)の参加者が無作為化後に介入を完了できなかった。
 
 結果以下の有意な変化が認められた。

「筋トレ群」では、握力(P=0.007)、膝伸展力(P=0.017)、歩行速度(P=0.012)、身体的QOL(P=0.016)が有意に向上。

「筋トレ+必須アミノ酸摂取群」では、握力(P=0.019)、膝伸展力(P=0.020)、歩行速度(P=0.002)、身体的QOL(P=0.041)向上の「筋トレ群」の結果に加えて骨格筋量指数(SMI:Skeletal Muscle Mass Index)(P=0.014)が有意に向上。

「筋トレ+必須アミノ酸および茶カテキン摂取群」では、握力(P=0.038)、膝伸展力(P=0.013)、歩行速度(P=0.008)、身体的QOL(P=0.020)、骨格筋量指数(SMI)(P=0.004)向上の「筋トレ+必須アミノ酸摂取群」の結果に加えて開眼片足立ち(P=0.045)も有意に向上。

 3群それぞれの介入前と介入後の変化率の比較は下図のとおり

 しかし、介入後の骨格筋量指数(SMI)、握力、膝伸展力、歩行速度、バランス力、身体的QOLの変化率を「筋トレ群」「筋トレ+必須アミノ酸摂取群」「筋トレ+必須アミノ酸および茶カテキン摂取群」で比較検討したが、3群間で有意な差を認めなかった。また、精神的QOLについては3群とも有意な変化は見られなかった。

 報告は「健康な高齢者における筋力トレーニング後の必須アミノ酸、茶カテキンの摂取は、身体能力を向上させる可能性が示唆された」とまとめている。


「Effect of ingestion of essential amino acids and tea catechins after resistance exercise on the muscle mass,physical performance, and quality of life of healthy older people: A randomized controlled trial」(PDFファイル)
 https://apjcn.nhri.org.tw/server/APJCN/30/2/213.pdf