多目的コホート研究(JPHC Study:Japan Public Health Center-based prospective Study)からの報告。2021年9月9日「Stroke.」にWeb先行公開。
平成7年(1995年)と平成10年(1998年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古の9保健所(呼称は2019年現在)に在住の45~74歳のうち、食事アンケート調査に回答し、循環器疾患、がんになっていなかった74,793人を、平成24年(2012年)まで追跡調査。
食物摂取頻度調査票のピーナッツ・落花生の摂取状況から1日あたりの摂取量を算出し、少ない順に並べて人数が均等になるよう4つのグループ(4分位)に分類。最も摂取量が少ないグループを基準として、その他のグループのその後の脳卒中や虚血性心疾患の発症リスクを調査。分析では、年齢、性別、地域、喫煙状況、飲酒量、身体活動量、精神的ストレス、野菜、果物、魚、大豆製品、食塩、エネルギー摂取量、体格、高血圧既往、糖尿病既往、高コレステロール血症の服薬を統計学的に調整。
追跡期間中央値14.8年の間に3,599件の脳卒中と849件の虚血性心疾患が報告された。
ピーナッツ摂取量の最も少ないグループに比べて、最も多いグループでは、脳卒中全体では0.84(0.77-0.93、P for trend=0.002)、脳出血は0.93(0.79-1.08、P for trend=0.27)、脳梗塞は0.80(0.71-0.90、P for trend=0.002)、虚血性心疾患は0.97(0. 80-1.17, P for trend=0.81)、循環器疾患0.87(0.80-0.94, P for trend=0.004)。脳卒中、脳梗塞、循環器疾患の発症リスクとの関係が見られたが、脳出血と虚血性心疾患との関連は見られなかった。(上図参照)男女別に分けた解析でも、結果に大きな違いはなかった。
報告は、「ピーナッツ摂取量が循環器疾患及び脳卒中(特に、脳梗塞)の発症リスク低下と関連することを明らかにした。ピーナッツに含まれる不飽和脂肪酸、ミネラル、ビタミン、食物繊維などの栄養素は、血圧値の低下や血中の脂質異常の改善、脳卒中の発症リスク低下との関連が報告されており、ピーナッツ摂取が多い場合に、脳卒中の発症リスクの低下と関連したことが考えられる」とまとめている。
ピーナッツ摂取と脳卒中および虚血性心疾患発症との関連(多目的コホート研究)
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8780.html
「Peanut Consumption and Risk of Stroke and Ischemic Heart Disease in Japanese Men and Women: The JPHC Study」
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34496618/