睡眠時間は死亡の行動危険因子!性と年齢を考慮する必要があるが、全死亡リスクは7時間が最も低い!(国立がん研究センター社会と健康研究センター)

 国立がん研究センター社会と健康研究センターのThomas Svenssonらの報告。2021年9月3日「JAMA Network Open」に掲載。睡眠時間と死亡との関連に影響を及ぼす因子を探索する目的で、縦断研究のデータを用いて睡眠時間と全死亡および主要な原因(心血管疾患、がん、その他)による死亡との関連を分析。

 対象は、1984年1月1日~2002年12月31日に実施された9件のコホート研究に含まれる日本、中国、シンガポール、韓国の男女32万2,721例(平均年齢54.5±9.2歳、男性14万4,179例、女性17万8,542例)。平均追跡期間は、男性で14.0±5.0年、女性で13.4±5.3年。データの解析は、2018年8月1日~2021年5月31日に実施。
 
 主要評価項目は、全死亡、主要な原因(心血管疾患、がん、その他)による死亡の発生。男女別の死亡リスクは、年齢、婚姻状態、BMI、喫煙状況、飲酒状況、身体活動、糖尿病および高血圧の病歴、閉経状態(女性のみ)を調整後に算出したハザード比(HR)で評価。

 睡眠時間は男性は8時間が最も多く最多(35.1%)、次いで7時間(31.7%)、女性では7時間が最多(33.8%)、次いで8時間(29.8%)の順。追跡期間中に死亡したのは、男性で1万9,419例(平均年齢53.6±9.0歳)、女性で1万3,768例(同55.3±9.2歳)。

 睡眠時間が7時間の場合、男女ともに全死亡、心血管疾患、その他の原因による死亡との関連性は最下点となった。睡眠時間と全死因死亡率との関連は、男女ともにJ字型であった。全死亡率との関連が最も高かったのは、男女とも睡眠時間が10時間以上の場合で、男性(ハザード比1.34、95%CI、1.26-1.44)、女性(HR、1.48、95%CI、1.36-1.61)。(下図参照)

 性別は、睡眠時間と心血管疾患、がん、その他の原因による死亡率と有意に関連。年齢は男性のみで全死亡、がん、その他の原因による死亡と有意に関連。

 報告者らは「睡眠時間は男女ともに、死亡の行動危険因子であることが示唆された。年齢は、男性の睡眠時間と関連性があったが女性にはなかった。個人に推奨される睡眠時間は、性と年齢を考慮する必要がある」とまとめている。


「Association of Sleep Duration With All- and Major-Cause Mortality Among Adults in Japan, China, Singapore, and Korea」
 https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2783717


〔管理者コメント〕

 睡眠の健康問題に関しては当サイト内においても多数取り扱っています。
 右サイドバーの「サイト内検索」を活用して「睡眠」、「睡眠時間」等で検索してご確認ください。