「It’s never too late to get active」-アクティブになるのは何歳になっても遅くない-

 2021年8月24日の欧州心臓病学会のプレスリリース。スイス・ベルン大学のNathalia Gonzalezらの報告。

 対象は、9つの縦断的コホートから得られた冠動脈性心疾患の患者33,576人。平均年齢は62.5歳で、34%が女性。観察期間の中央値は7.2年。ベースライン時とフォローアップ時に有効な質問票を用いて活動量を評価し、2つの時点で、中強度の活動を週に150分以上または高強度の活動を週に75分以上またはその組み合わせで同等の時間・強度となる組み合わせを実施している対象者を活動的、実施していない対象者を非活動的に分類。その上でベースライン時とフォローアップ時の活動状況に応じて、「経時的に不活発」、「経時的に活発」、「経時的に活動が増加」、「経時的に活動が減少」の4つのグループに分類して全死亡と心血管疾患による死亡のリスクを調査。

 全死因死亡のリスクは、「経時的に不活発」と比較して、「経時的に活発」は50%、「経時的に活動が増加」は45%、「経時的に活動が減少」は20%低下。(上図参照)

 心血管疾患による死亡リスクは、「経時的に不活発」と比較して、「経時的に活発」は51%、「経時的に活動が増加」は27%低下。「経時的に活動が減少」は統計的な差はなかった。

 報告者は、「今回の結果は、活動的なライフスタイルを長年にわたって継続することが、最大の長寿につながることを示している。また、冠動脈性心疾患の患者は、それまでの長年の不活動を克服し、人生の後半に運動を取り入れることで生存率の向上を得ることができる。一方で、活動を維持しないと、活動の利点が弱まったり、失われたりすることもある。今回の調査結果は、心臓病患者にとって、それまでの習慣にかかわらず、体を動かすことが有益であることを示している」とまとめている。


「It’s never too late to get active」(European Society of Cardiology)
 https://www.escardio.org/The-ESC/Press-Office/Press-releases/It-s-never-too-late-to-get-active