週55時間以上働くと、週35〜40時間働く場合と比較して脳卒中、虚血性心疾患の死亡のリスクが高くなる(WHO、ILO)

 WHO(世界保健機関:World Health Organization)とILO(国際労働機関:International Labour Organization)が2021年5月17日EnvironmentInternationalに発表。

 長時間労働に伴う人命と健康の喪失に関する最初の世界的な分析結果。

 2016年には、4億8800万人(95%の不確実性範囲:4億7200万〜5億300万人)、世界人口の8.9%(8.6〜9.1)が長時間(週55時間以上)の労働にさらされていた。その結果、脳卒中で398,411人、心臓病で346,753人が死亡。2000年から2016年の間に心臓病による死亡者数は41.5%増加、脳卒中による死亡者数は19.0%増加。合計約745,000人死亡し、約29%増加したと推定。死者の7割は男性で、地域的には西太平洋地域や東南アジアに住む人が多かった。その結果、週55時間以上働くと、週に35〜40時間働く場合と比較して、脳卒中のリスクが35%高くなり、虚血性心疾患による死亡のリスクが17%高くなると推定。

 WHOとILOは、「長時間労働(週55時間以上)は、虚血性心疾患と脳卒中の大きな原因となる。労働安全衛生を保護および促進するには、危険な長時間労働を減らすための介入が必要」とまとめている。

Long working hours increasing deaths from heart disease and stroke: WHO, ILO
 https://www.who.int/news/item/17-05-2021-long-working-hours-increasing-deaths-from-heart-disease-and-stroke-who-ilo

Global, regional, and national burdens of ischemic heart disease and stroke attributable to exposure to long working hours for 194 countries, 2000–2016: A systematic analysis from the WHO/ILO Joint Estimates of the Work-related Burden of Disease and Injury
 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0160412021002208