女性の喫煙状態と心理的苦痛(SPD)との間に関連が!(奈良県立医科大学)

 奈良県立医科大学県民健康増進支援センターの冨岡公子氏らの報告。3月4日「Harm Reduction Journal」に掲載。

 厚生労働省「国民生活基礎調査」の匿名データ(男性33,925人、女性37,257人)が対象。心理的苦痛(SPD)は、ケスラーの6項目(「神経過敏か」、「絶望的か」、「そわそわ落ち着かなく感じるか」、「気分が沈みこんで何があっても気が晴れないか」、「何をするのも骨折りか」、「自分は価値がないと感じるか」)の心理的苦痛尺度に対して「いつも」、「たいてい」、「ときどき」、「少しだけ」、「まったくない」の5段階で回答。各問について0-4点を配分した合計点24点満点のうち13点以上を「心理的苦痛あり」と評価。性別および年齢グループ(20〜44歳、45〜64歳、および65歳以上)別にそれぞれ比較検討。

 性別では、女性は、「喫煙歴なし」を基準とすると、「元喫煙者」がオッズ比1.22(95%信頼区間:0.92~1.63)、「1日の喫煙本数10本以下の現喫煙者」が1.52(1.25~1.84)、「11~20本の現喫煙者」が1.75(1.46~2.09)、「21本以上の現喫煙者」が2.22(1.59~3.10)。現喫煙者は「心理的苦痛が強い」に対するオッズ比が有意に高く、かつ喫煙レベルが高いほど「心理的苦痛が強い」が多くなる量反応関係が認められた(傾向性P<0.001)。対して男性は、喫煙レベルと「心理的苦痛が強い」との量反応関連はなく、「21本以上の現喫煙者」のみ「心理的苦痛が強い」に対するオッズ比が有意に高くなっていた1.32(1.07~1.64)。量反応関係における性別の交互作用は有意であった。(上図参照)

 年齢層別では、どの年齢層でも、喫煙本数が多いほど「心理的苦痛が強い」に該当する人が多くなることが分かった。ただ、男性は、すべての年齢層で喫煙状態と心理的苦痛の間に関連性はなく、20〜44歳の「21本以上の喫煙者」だけが心理的苦痛のオッズ比が有意に高かった1.37(1.02〜1.85)。

 報告者らは「喫煙状態と心理的苦痛(SPD)の関連は、女性でのみ確認できた。心理的苦痛尺度の高い女性喫煙者に対しては、メンタルヘルスの改善と禁煙支援の両面からのアプローチが必要」とまとめている。


「Association between heaviness of cigarette smoking and serious psychological distress is stronger in women than in men: a nationally representative cross-sectional survey in Japan」
 https://harmreductionjournale.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12954-021-00469-5


〔管理者コメント〕

 個人的には、性別等に関係なく禁煙できない人は中毒かメンタルに問題があると思いますが・・・。