米国の退役軍人対象健康システム(VA Greater Los Angeles Healthcare System)のFolasade May氏らが行ったコホート研究結果。「Gastroenterology」に2021年2月2日記載。
1999~2010年に大腸がんの便検査(便潜血検査または便免疫化学検査)を受けた、50~75歳の退役軍人20万4,733人(平均年齢61±6.9歳)が対象。便検査結果で異常が指摘されてから、1~3カ月以内に大腸内視鏡検査を受けた人を基準として、それより遅れて内視鏡検査を受けた人が、大腸がんと診断されるリスクや死亡するリスクを比較検討。
大腸がんと診断された方は、1〜3カ月で内視鏡検査を受けた人と比較して、13〜15カ月で内視鏡検査を受けた人のハザード比(HR)は1.13(95%信頼区間(95%CI)1.00~1.27)、16〜18カ月(HR 1.25; 95%CI: 1.10–1.43)、19〜21カ月(HR 1.28; 95%CI: 1.11–1.48)、22〜24カ月(HR 1.26; 95%CI: 1.07–1.47)。(上図参照)
内視鏡検査の先延ばしは死亡リスクの上昇とも関連。例えば、19~21カ月で受けた人はHR1.52(95%CI:1.51~1.99)、22~44カ月ではHR1.39(95%CI: 1.03~1.88)。また16カ月以降に内視鏡検査を受けた場合は、大腸がんが進行した段階で発見される確率が1.7倍高いことも分かった。
報告者らは、「内視鏡検査までの期間の先延ばしは、ポリープががんに進行したり、がんのステージが進んでしまう可能性がある。便検査結果で異状が指摘されてから1年以内の診断フォローアップを強調する必要がある」とまとめている。
「Time to Colonoscopy After Abnormal Stool-Based Screening and Risk for Colorectal Cancer Incidence and Mortality」
https://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(21)00325-5/fulltext?referrer=https%3A%2F%2Fpubmed.ncbi.nlm.nih.gov%2F
〔管理者コメント〕
上記は海外の報告ではあるが、わが国の「がん10年相対生存率(国立がん研究センター)」(下図参照)を見てもがん検診による早期発見がいかに大切かは見て取れる。
(本サイト内)がん5年相対生存率は68.6%、10年相対生存率は58.3%(国立がん研究センター)
https://healthy-life21.com/2020/11/20/20201120/