座りすぎは生活習慣病リスク(京都府立医科大学 日本多施設共同コーホート研究事務局)

 日本多施設共同コホート研究※(J-MICC study)の全国11 研究拠点の調査に参加した、虚血性心疾患と脳卒中の既往歴がなく、データに欠損値がない62,754 名(男性27,930 名、女性34,824名)が対象。座位時間の長さと、生活習慣病関連因子である肥満度(BMI)、血圧(収縮期、拡張期)、中性脂肪、HDL コレステロール、non-HDL コレステロール(=総コレステロール-HDL コレステロール)、HbA1c との関係を見るため、データがある35,953 名(男性17,109 名、女性18,864名)のデータを解析。
 睡眠時間を除く日中の行動時間は、国際標準化身体活動質問票をベースとした質問票を用い、日中の座位時間の長さと、生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)との関係を性別および年代別(35?49 歳,50?59 歳,60?69 歳)に分類。日中の座位時間は、質問票をもとに ① 5時間未満 ② 5-7時間 ③ 7-9 時間 ④ 9 時間以上の4 群に分けて解析。調整因子は、年齢、居住地域、飲酒の有無、喫煙の有無、余暇時間の活動量(METs)。
 結果、1日の座位時間5時間未満の群と比べて、座位時間が長くなると、男性では、高血圧(最大9.6%増)、脂質異常症(最大37.7%増)、糖尿病との関係(最大6.7%増)が認められた。女性では、脂質異常症との関係(最大25.2%増)が認められた。座位時間の長さと、生活習慣病関連因子(BMI、収縮期血圧、拡張期血圧、中性脂肪、HDL コレステロール、non-HDL コレステロール、HbA1c)との関係では、年代によって異なるが、男性では全ての項目で、女性ではHbA1c 以外の項目で関連が認められた。男女ともに年代が上がるにつれて、座位時間の長さと関連する生活習慣病関連因子の項目数が多くなることが認められた。
 報告者は「60歳代男女の収縮期血圧、中性脂肪をグラフ化(上図参照)すると、座位時間5時間未満から9時間以上にかけて上昇していることがわかる。これらのことから、座位時間の延伸は、現在の生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病)の有無とも関係するが、生活習慣病の各因子とも関連していることから、日中の座位時間の減少は、国民全体の生活習慣病を予防する戦略に繋がることが期待される」とまとめている。

※日本多施設共同コーホート研究(J-MICC STUDY:Japan Multi- Institutional Collaborative Cohort Study)
 2005 年から全国13の研究グループが共同して、10 万人以上の人々の健康状況を20 年にわたって追跡し、どのような人がどのような環境の下でどのような病気になりやすいかを調査している研究。

京都府立医科大学 日本多施設共同コーホート研究事務局プレスリリース(PDFファイル)
 https://www.kpu-m.ac.jp/doc/news/2021/files/27489.pdf
「Sedentary Time is Associated with Cardiometabolic Diseases in A Large Japanese Population: A Cross-Sectional Study」(Journal of Atherosclerosis and Thrombosis)
 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32269208/