「10分未満」の身体活動でも、1日の合計時間を長くすれば要介護化リスク軽減に効果(福岡工業大学 他)

 「篠栗元気もん調査」より、平成23年時点に65歳以上だった1,678人を対象として、調査開始時点でのMVPA(中高強度身体活動:moderate-to-vigorous physical activity)とその後6年間の要支援・要介護認定との関連を検証。
 4分位に分けて比較検討した結果、自宅などで行える継続時間10分未満のMVPAの身体活動であっても1日あたりの平均時間が長くなるほど要介護化リスクが低くなることが明らかになった。(上図参照)
 報告者らは、「長時間のスポーツではなく、掃除機かけや子どもと遊ぶといった活動など生活活動を含む日常の身体活動量を増やすことで要介護リスクを軽減できる可能性が示唆された」。またプレスリリースでは「新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う自宅待機の広がりを受けて多くの人が家の中にとどまり、身体活動が減少することで身体と精神の健康に悪影響が生じる可能性がある。また、各地で高齢者向けに開かれていた介護予防教室の実施も難しくなっていて、高齢者の健康づくりは毎日の行動を見直す「行動変容型」にシフトする必要がある。この研究は行動変容がもたらす効果の可能性を明確なデータで裏付けた初めての事例といえる」とまとめている。

篠栗元気もん調査
 福岡県糟屋郡篠栗町(かすやぐん ささぐりまち)、九州大学健康・運動疫学研究室、福岡工業大学身体活動研究室がより良い介護予防事業を行うための知見獲得を目的として、共同で行っている調査。

 研究成果に関しては、アメリカの老年学雑誌「Journals of Gerontology: Medical Sciences」にオープンアクセス論文として発表。下記リンクからダウンロードできる。
「Dose-Response Association Between Accelerometer-Assessed Physical Activity and Incidence of Functional Disability in Older Japanese Adults: A 6-Year Prospective Study」
 https://doi.org/10.1093/gerona/glaa046