夫が喫煙者である女性の夫の喫煙状況や職場などの家庭以外の受動喫煙の状況を詳細に調べ、その後の糖尿病の発症に影響を及ぼすかどうかについて検討。
研究開始時及び研究開始から5年後に行ったアンケート調査で、これまでにたばこを吸ったことが無い女性を対象。夫の喫煙習慣の有無は、夫自身のアンケート回答結果から把握。女性の職場など家庭以外の場所での受動喫煙は、研究開始時に行った女性へのアンケート調査で把握。糖尿病の発症は、研究開始から5年後と10年後に行ったアンケート調査で、糖尿病と診断されたことがある場合とした結果。
研究開始から5年間で、たばこを吸わない女性のうち、334名が糖尿病を発症し、続く5年間で374名の女性が糖尿病を発症。夫が吸う1日あたりのたばこの本数が多いほど、女性の糖尿病発症のリスクは高くなる傾向がみられた。(上図参照)
報告者らは、「今回の研究は女性を対象に、本人にたばこを吸う習慣がなくても、夫が吸っているたばこの本数が多いと、その後の糖尿病のリスクが上昇するという傾向がみられた。また、職場など家庭以外の場所で、受動喫煙による糖尿病リスクへの影響も示唆された。はっきりとしたメカニズムはわかっていないが、これまで様々な研究から、能動喫煙によりインスリン抵抗性や血糖の上昇が誘導されることがわかっており、受動喫煙でも同じことが起きていると考えられる」とまとめている。
※ JPHC Study (Japan Public Health Center-based prospective Study):厚生労働省がん研究班による多目的コホート研究
多目的コホート研究(JPHC Study)
「非喫煙女性の受動喫煙と糖尿病発症との関係」
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8489.html