東京大学大学院医学系研究科の 村上 健太郎 氏らの報告。2024年2月15日東京大学ホームページにて公表。研究成果は、2024年2月14日「JMIR Public Health and Surveillance」に掲載。
2023年2~3月にオンライン質問紙調査に参加した20~79歳の日本人成人5,998人が対象。
質問内容は、『栄養や食事についての情報を得るときに、あなたが日常的に情報源として用いている媒体・メディアは以下のうちのどれですか? 当てはまるものすべてをお選びください。』 次に、選択した媒体・メディアのそれぞれについて、『その情報源から得られた「栄養や食事についての情報」は信頼できると思いますか?』と尋ねた。選択肢は、『全くそう思わない』『あまりそう思わない』『どちらともいえない』『ややそう思う』『非常にそう思う』の五つで、 『ややそう思う』もしくは『非常にそう思う』と答えた場合、その情報源を『栄養や食事についての情報源』とした。
結果
もっとも多くの人々に使用されていた情報源はテレビ(32.9%)。2番目以降、ウェブ検索(22.2%)、特定のウェブサイト(例:政府や医療メーカー;16.6%)、新聞(15.0%)、本や雑誌(11.6%)、動画サイト(例:YouTube;10.6%)。(下図参照)
10%以上の人々に使用されていた六つの情報源について、多変量ロジスティック回帰分析を用いて、関連する特性を調べてた結果では、どの情報源とも一貫した関連を示したのはヘルスリテラシーのみで、ヘルスリテラシーが高いほど、ここで取り上げた個々の情報源すべてにおいて利用する確率が高いことが分かった。一方、フードリテラシーと情報源との関連は、情報源によってさまざまであり、テレビの利用はフードリテラシーが低いことと関連している一方、特定のウェブサイト、本や雑誌、動画サイトの利用はフードリテラシーが高いことと関連していた。さらに、食事内容の質が高いことは、新聞および本や雑誌の利用と関連していた。 (下表参照)
報告は、「二つの主要な情報源(テレビとウェブ検索)の利用と、フードリテラシーおよび食事内容の質との間に正の関連が観察されなかった。一方、特定のウェブサイト、新聞、本や雑誌、動画サイトの利用が、フードリテラシーや食事内容の質とは正の関連を示した。本研究の成果は、栄養や食事についての信頼できる情報を、社会に向けどのように発信・普及すればよいかを議論・検討するための科学的根拠となることが期待される」とまとめている。
ヘルスリテラシー:健康や医療に関する正しい情報を入手し、理解して活用する能力。
フードリテラシー:食品に関するニーズを満たし摂取量を決定するに際して、計画、管理、選択、準備、食べるために必要な相互に関連した知識、スキル、行動の集まり。
「日本人はどのメディアから 栄養や食事についての情報を得ているか」(東京大学)(PDFファイル)
https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400232715.pdf
「Prevalence and Correlates of Dietary and Nutrition Information Seeking Through Various Web-Based and Offline Media Sources Among Japanese Adults: Web-Based Cross-Sectional Study」(JMIR Public Health and Surveillance)
https://publichealth.jmir.org/2024/1/e54805