がん患者が知りたいのは、「生命予後(いつまで生きられるか)」よりも「機能予後(会話予後、食事予後、運動予後、思考予後)」(筑波大学)

 国立大学法人筑波大学 濱野 淳 氏らの報告。2022年10月28日「TSUKUBA JOURNAL」のプレスリリース。研究成果は2022年10月24日「Annals of Palliative Medicine」に掲載。

 国内のがん患者132名(男性67名、消化器がん43名、泌尿器がん23名、婦⼈科がん20名)が対象。
 2022年2⽉にインターネットで無記名で
1 「いつまで⽣きられるか」を知っておきたい(⽣命予後)
2 「いつまで⾃由に動けるか(旅⾏など)」を知っておきたい(運動予後)
3 「いつまで本を読むなど複雑な思考ができるか」を知っておきたい(思考予後)
4 「いつまでおいしく⾷事ができるか」を知っておきたい(⾷事予後)
5 「いつまでちゃんと会話ができるか」を知っておきたい(会話予後)
に対して、それぞれ「とてもそう思う」〜「全くそう思わない」の6段階で回答するアンケートを実施。

結果

 「⽣命予後を知っておきたい」に対して、とてもそう思う・そう思うと回答したのは、35名(26.6%)。機能予後に関しては、とてもそう思う・そう思うと回答した患者が多かったのは、「会話予後」62名(46.9%)、「⾷事予後」57名(43.1%)、「運動予後」56名(42.4%)。(上表参照)

 また、⾝近な⼈をがんで亡くした経験があることが、「⽣命予後」、「運動予後」、「会話予後」を知っておきたいことと関連していた。

 報告は、「がん患者は、いつまで日常生活や仕事ができるかを考えるために、生命予後よりも、機能予後を知りたいと考え、身近にがんで亡くなった人がいる場合、より予後情報を知りたいと考えている可能性を示している」とまとめている。


「がん患者が知りたいのは残された時間より「いつまで動けるか」〜予後情報に関する意向調査を実施〜」
 https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20221028141500.html