老化を前向きに捉えている人ほど健康的に暮らしていて、実際、健康で長生きしている!

 ブリティッシュ コロンビア大学 Julia S. Nakamura らの報告。2022年2月9日「JAMA Network Open」に掲載。

 米国で50歳以上の成人対象に実施されている就労や定年退職と健康に関する研究(HRS:Health and Retirement Study)参加者で、2008年と2010年に心理社会的状況に関するアンケートに回答していた13,752人(年齢65±10歳、女性59%、64%が既婚者)が対象。統計分析は、2020年7月24日から2021年11月6日まで実施。

 老化の捉え方の調査は8項目の質問から評価。結果に基づき全体を四分位「第1四分位群(老化を最も否定的に捉えている)」から「第4四分位群(老化を最も前向きに捉えている)」までの4群に分類。全死亡、慢性疾患、健康行動、身体機能制限、心理的苦痛などの35項目と比較検討。

結果

 「第1四分位群(老化を最も否定的に捉えている)」に比べて、第2四分位群の全死亡リスクは28% リスク比(RR)0.72(95%信頼区間0.63~0.82)、第3四分位群は35% RR0.65(0.55~0.77)、第4四分位群(老化を最も前向きに捉えている群)は43% RR0.57(0.46~0.71)。(上図参照)

 その他、老化を前向きに捉えている人は、老化を否定的に捉えている人と比較して、慢性疾患、身体機能の制限、認知機能障害、慢性疼痛、身体活動習慣、睡眠障害、人生の満足度などの心理社会的要因などにおいて良好な結果。

 報告は、「老化を前向きに捉えている人ほど、その後の健康と幸福度が向上することを示唆している。老化に対する満足度は、その後の人生の健康と幸福を改善することを目的とした今後の介入の重要な目標になる可能性がある」とまとめている。


「Associations Between Satisfaction With Aging and Health and Well-being Outcomes Among Older US Adults」
 https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2788853