個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブ*1を提供する取組に係るガイドライン(厚生労働省)

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 厚生労働省は、2016年5月18日個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供する取組に係るガイドラインを取りまとめ公表。

 インセンティブは、最近は、「見返り」「ご褒美」的なニュアンスで用いられることが多く、「ポイント制度」はその代表的なもの。

主なガイドラインの要旨は、

1 個人への分かりやすい情報提供
・ICT*2等も活用しながら、分かりやすく健診結果を提供し、健康に対する問題意識を喚起することが重要(グラフの活用・検査値の意味の説明等)
2 個人へのインセンティブの評価・提供方法等
・本人の疾病リスクではなく、予防・健康づくりの積極的な取組を重視して評価することが必要 (健康教室への参加、ウォーキングの取組、体重や食事内容の継続的な記録等)
※必要な医療を受けるべき者が受診を抑制し、重症化を招くことがないよう、単に医療機関を受診していないことを評価することは慎む必要
・インセンティブの報酬の内容を個人の価値観に合わせて、魅力的なものとすることが必要 (健康グッズ、社会的な表彰、商品券等)
※金銭的な価値が高すぎる報酬の付与(現金給付等)は、報酬を得ることのみが目的化しやすく、慎重に考えることが必要
3 取組を広げるための推進方策
・口コミの誘発による参加者の増加や、民間企業を活用した事の事例の紹介
例)「市政だより」といった広報誌のみの広告から、商店街ののぼり旗やバスの車内広告等の媒体を活用し、口コミを誘発した事例
例)健康づくりを行うとポイントがたまり、協力店舗からお得なサービス(洗車半額・マッサージの割引き等)が受けられる事例

 個人の予防・健康づくりに向けたインセンティブを提供する取組に係るガイドラインについて
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000124579.html


*1 インセンティブ(incentive)刺激、動機、報奨金といった意味で意欲をかき立てる要因を広く指す語として用いられる。最近は、「見返り」、「ご褒美」的なニュアンスで用いられることが多い。

*2 ICT(Information and Communication Technology)は「情報通信技術」の略。IT(Information Technology)とほぼ同義の意味。コンピューター関連の技術をIT、コンピューター技術の活用に着目する場合をICTと、区別して用いる場合もある。国際的にICTが定着していることなどから、日本でもITよりもICTを使うことが多くなった。


〔管理者コメント〕

 インセンティブの本来の定義の一つである「刺激」「動機」といった意味合いが薄れ、行政の「申請した人だけしか得ることのできないインセンティブ」、民間の「情報を知り得た人だけが活用できるポイント制度などのインセンティブ」など、著しく公平さが欠如しているのではないでしょうか?「国がガイドラインを示すからには官民とも公平なサービスを提供していただきたい。」と感じています。