米マサチューセッツ総合病院のJordi Merino氏らの研究。「Gut」に2021年9月6日掲載。
米国と英国で実施された、スマートフォンを利用しCOVID-19の罹患状況や罹患時の症状を把握する研究で収集された592,571人のデータを使用。パンデミック前の食習慣については食物摂取頻度質問票により把握。食生活の質は、27の食品の摂取頻度から、全体的に植物性食品の摂取頻度が高い場合に高スコア、動物性食品の摂取頻度が高い場合に低スコアとなるという食生活スコア(hPDI:healthful Plant-Based Diet Index)で評価。「悪い群(第1分位:下位25%)」、「普通群(第2分位と第3分位:中位50%)」、「良い群(第4分位:上位25%)」の3群に分類して比較検討。
3,886,274人月の追跡で、3万1,815件のCOVID-19症例報告。
罹患率は、年齢や性別、BMI、喫煙・身体活動習慣、人種/民族、地域、研究参加時期、基礎疾患などの交絡因子を調整後、「悪い群」を基準とすると、「普通群」はハザード比(HR)0.91(95%信頼区間:0.89~0.93)、「良い群」はHR0.91(0.88~0.94)。(上図左参照)
陽性率は、前記と同様の交絡因子で調整後、「悪い群」を基準とすると、「普通群」はHR0.88(0.85~0.92)、「良い群」はHR0.82(0.78~0.86)。(上図中参照)
重症化率は、前記と同様の交絡因子で調整後、「悪い群」を基準とすると、「普通群」はHR0.77(0.66~0.91)、「良い群」はHR0.59(0.47–0.74)。(上図右参照)
さらに、社会経済的状況で層別化したうえで、食事の違いの影響を比較すると、社会経済的状況が低い群ほど食生活スコアが低いことによってCOVID-19罹患リスクがより高くなる結果。社会経済的状況が高位の群の食生活スコアの「悪い群」のCOVID-19罹患の調整ハザード比(HR)は1.08( 95%信頼区間 :1.03~1.14)、社会経済的状況が中位の群では、HR1.23(1.17~1.29)、社会経済的状況が低位の群では、HR1.47(1.38~1.56)。(上図参照)
報告は「健康的な食事は、他の健康的な行動、健康の社会的決定要因、およびウイルス感染対策を考慮した後でも、COVID-19発症、重症化リスクと関連していた。また、食事の質と生活困窮度の関連性は高く、食事の質がCOVID-19の感受性と進行に直接影響を与える可能性があることを示唆している。栄養と代謝の健康状態を改善し、健康の社会的決定要因に対処するための公衆衛生介入が、パンデミックの負担を軽減するために重要である可能性がある」とまとめている。
「Diet quality and risk and severity of COVID-19: a prospective cohort study」
https://gut.bmj.com/content/70/11/2096.long