将来の認知症発症リスクを予測するツールを開発:久山町の研究データから(九州大学)

 九州大学大学院医学研究院の二宮利治教授、本田貴紀助教(衛生・公衆衛生学分野)および中尾智博教授、小原知之講師(精神病態医学)らの共同研究グループの報告。2021年7月28日「Alzheimer’s & Dementia: Diagnosis, Assessment & Disease Monitoring (DADM)」に掲載。

 研究グループは、1961年から福岡県糟屋郡久山町の住民を対象に実施している久山町研究からデータを抽出。認知症のない65歳以上の795例(男性310例、女性485例)について1988~2012年の追跡を行い、健康診断で測定できる因子から認知症の発症確率を予測する統計的モデルを検討。追跡期間中に364例が認知症を発症。

 結果、喫煙習慣、日中の活動量や生活習慣病(高血圧、糖尿病など)から、10年後の認知症発症確率を高い精度で予測できることを明らかにした。さらにこの予測モデルを元に、容易に計算可能な簡易スコアを作成。(上図参照)

 報告は、「長期に渡る追跡調査から精度の高い発症予測モデルが開発できた。今後、実用化に向けた取り組みを進めていく」とまとめている。


将来の認知症発症リスクを予測するツールを開発:久山町研究(九州大学)
 https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/626
「Development of a dementia prediction model for primary care: The Hisayama Study」
 https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/dad2.12221