テレワークは体力の低下、身体症状の悪化につながる恐れ!(明治安田厚生事業団 他)
公益財団法人 明治安田厚生事業団 渡辺 裕也 氏らの報告。厚生労働科学研究班の研究成果。2025年12月10日 同事業団、びわこ成蹊スポーツ大学ホームページにて公表。研究成果は、2025年10月9日に「Journal of Occupational and Environmental Medicine」に掲載。
東京都内の建設関連企業に勤めるオフィスワーカー93名(平均年齢39.9歳)が対象。テレワーク頻度は、テレワーク「なし」、「週1日以下」、「週2~3日」、「週4日以上」の4群に分類。評価は、30秒間椅子立ち上がりテスト、生体電気インピーダンス法、身体症状スケール8(SSS-8:Somatic Symptom Scale-8)日本語版※で検討。
結果

・ テレワーク頻度が高いほど、30秒に反復できる椅子立ち上がり回数が少なく、体力が低下している傾向がみられた。特にテレワーク「なし」のグループと比べて、「週4日以上」のグループは4.3回減。椅子立ち上がりテストの基準値では、10歳ごとに約0~4回低下することが知られており、この差は約10歳分の体力差に相当すると考えられる。(上図左参照)
・ テレワーク頻度が高いほど、自覚的な身体症状(腰痛や関節痛など)が悪化する傾向がみられた。(上図右参照)
※ 身体症状スケール8(SSS-8:Somatic Symptom Scale-8)日本語版
身体の痛みや不調など、からだの自覚症状を評価するための国際的な質問票。日本語版 SSS-8 は、「胃の不調」、「背部や腰の痛み」、「腕、脚または関節の痛み」、「頭痛」、「胸痛・息切れ」、「めまい」、「疲労感・気力低下」、「睡眠障害」の8項目で構成し、それぞれ「どの程度悩まされているか」を自己評価。日常生活での身体的ストレスや不調の強さを把握する指標として、国内外の研究で広く用いられている。
報告は、「働き方改革が進む現代社会において、在宅勤務と健康の両立を考えるうえで重要な知見。身体を動かす機会を確保するとともに、在宅勤務環境の整備を図ることが、働く側・雇う側の双方に求められる。テレワークのメリットと健康を両立できる働き方を、社会全体で模索していくことが重要」とまとめている。
「高頻度のテレワークが体力低下につながる可能性!」(明治安田厚生事業団)
https://www.my-zaidan.or.jp/pressrelease/detail.php?id=72afb47ddcb145b277c0700d3acb650b&tmp=1765326409
「Impact of Telework on Body Composition, Physical Fitness, and Physical Symptoms in Japanese Workers」(Journal of Occupational and Environmental Medicine)
https://journals.lww.com/joem/abstract/9900/impact_of_telework_on_body_composition,_physical.1003.aspx