玄関まわりに植木や花がある住宅に住む高齢者はうつのリスクが低い!(千葉大学)

 国立大学法人千葉大学予防医学センター 吉田 紘明 氏らの研究グループの報告。2025年8月5日 同大学ホームページで公表。研究成果は、2025年7月14日「Preventive Medicine Reports」に掲載。

 65歳以上で要介護認定を受けていない地域在住高齢者2,046人(女性1,141人、男性905人、平均年齢約75歳)が対象。2022年1月と2023年10月に自記式質問票にて取得した調査データを使用。玄関まわりにある、階段、庇(ひさし)や軒下、植木や花、駐車場、玄関外側のベンチや腰掛けなどとうつ病発症リスクを比較検討。うつ病は、老年期うつ評価尺度(GDS-15:Geriatric depression scale 15)を用いて評価。

 以下結果の抜粋

 2023年時点においてうつの者は458人(22.4%)。集合住宅居住者245人 (23.1%)、戸建住宅居住者で 194人(21.5%)、住居不明者は 19人 (22.6%)で全体の傾向とほぼ同じ。

 玄関まわりに植木や花がある住宅に住む高齢者は、ない住宅に住む高齢者と比べて、うつの割合が16%低いことが明らかになった。住宅種別での検討結果では、集合住宅居住者は、玄関まわりに植木や花がある住宅に住む高齢者は、ない住宅に住む高齢者と比べてうつの割合が28%低いことが明らかになった。一方、戸建住宅居住者は15%低かったが有意な関連は認められなかった。(上図参照)

 報告は、
 玄関まわりの植物の存在が高齢者のうつの低さにつながる可能性を示した。
 因果関係は明らかにできないが、この関連には、3つのメカニズムが関与していたと考えられる。
1 社会的交流の増進
 植物の手入れ中に近隣住民との挨拶や会話が生まれやすくなり、交流が促進されることで、メンタルヘルスの改善につながった可能性がある。
2 身体活動の増進
 植物の世話を通じて身体活動が日常的に行われることで、うつの予防や緩和に寄与した可能性がある。
3 ストレス軽減
 自然とのふれあいを通じてストレスが軽減され、メンタルヘルスの改善に役だった可能性が考えられる。
とまとめている。


「玄関まわりの植物がうつ予防に貢献する可能性 -玄関まわりに植木や花がある住宅に住む高齢者はうつが16%少ない」(千葉大学)(PDFファイル)
 https://www.chiba-u.ac.jp/news/files/pdf/genkan_0805.pdf
「Association between home entrance characteristics and depression: A cross-sectional study of community-dwelling older adults in Japan」(Preventive Medicine Reports)
 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211335525001871