日本人労働者における菓子の摂取量はうつリスクに関連(福岡女子大学)

 福岡女子大学国際文理学部食・健康学科の南里明子氏らの報告。2021年8月12日「The British Journal of Nutrition」に掲載。

 千葉県と神奈川県に拠点を置くある製造業の企業従業員を対象とする健康調査(J-ECOHサブスタディ)の一環。菓子の摂取量とうつ状態の新規発症リスクとの関連を縦断的に検討。

 ベースライン調査に参加した2,162人から、うつ状態にある人、精神疾患の既往のある人、摂取エネルギー量が極端な人(平均値±3標準偏差以内から逸脱)、3年後の追跡調査に参加しなかった人などを除外した911人(男性812人)が解析対象。

 うつレベルはCES-Dスケール (The Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)を用いて評価。スコアが16点以上(60点満点)の場合にうつ状態と判定。

 菓子の摂取量を含む日常の食生活については、BDHQ質問票(簡易型自記式食事歴法質問票:brief-type self-administered diet history questionnaire)を用いて把握。そのほかに、喫煙・身体活動習慣、睡眠時間、残業時間、シフト勤務の有無、職位、職務上の負担、婚姻状況なども調査。

 ベースライン時の菓子摂取量の三分位で全体を「少ない」、「普通」、「多い」の3群に分類。3群間を比較した結果、うつレベル(CES-Dスコア)、年齢、職位、残業時間、職務上の負担には有意な差はなかった。一方、「多い」群は他群と比較し、男性や既婚者、シフト勤務者、現喫煙者、習慣的飲酒者が少なく、身体活動量が少なく、摂取エネルギー量が多かった。

 3年間の追跡で、153人(16.8%)が新たにうつ状態と判定された。

 「少ない」群を基準として、新たにうつ状態と判定されたオッズ比(OR)は「普通」群はOR0.84(95%信頼区間:0.50~1.41)、「多い」群OR1.72(同1.03~2.86)(傾向性P=0.012)。(上図参照)

 報告者は、「菓子の摂取は、日本の労働人口の抑うつ症状のリスクが高いことに関連していることを示唆している」とまとめている。


「Prospective association of confectionery intake with depressive symptoms among Japanese workers: the Furukawa Nutrition and Health Study」あ
 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34380580/


〔管理者コメント〕

 菓子とうつの関係よりも、たった3年間の追跡で、911人(男性812人)中153人(16.8%)がうつ状態という結果に少々驚いています。