紙巻きタバコ1本の値段は命の約20分!? -タバコを1本吸うごとに男性は約17分、女性は約22分寿命が短くなる-

(アイキャッチ画像、上図は、本文とは直接は関係ありません)

 University College London の Sarah E. Jackson 氏らの報告。研究成果は、2024年12月29日「Addiction」に掲載。

 2000年に報告された研究では、1991年まで40年にわたって男性の死亡率を追跡したBritish Doctors Studyのデータ(1日当たりの喫煙本数は15.8本と推定)を基に、たばこを1本吸うごとに寿命が平均11分短縮することが推定されていた。

 現在のBritish Doctors Studyの2001年までの50年間の追跡データと、女性の死亡率を2011年まで追跡したMillion Women Studyのデータでは、喫煙をやめなかった喫煙者の平均余命は、男性は約10年、女性は約11年短くなることが明らかになった。併せて、1996年の女性の1日当たりの喫煙本数(平均13.6本)を基にタバコを1本吸うごとに失われる寿命を算出すると全体では約20分、男性は約17分、女性は約22分と推定。

 喫煙の有害な影響は累積的であり、禁煙を早期に始めて喫煙本数を減らせば減らすほど寿命は長くなる。例えば、1日10本のタバコを吸う人が2025年1月1日に禁煙を始めると、1月8日までに1日分、2月20日までに1週間分、8月5日までに1カ月分、年末までに50日分の寿命を守ることができることになる。また、過去の研究から、喫煙者は通常、不良な健康状態で過ごす年数と同じ年数の寿命を失うことが示唆されている。この知見に基づくと、60歳の喫煙者の健康状態は、非喫煙者の70歳の健康状態に相当することになると報告。


 報告は、「どの年齢でも禁煙することは有益だが、喫煙者がこの死のエスカレーターから早く降りれば降りるほど、より長く、より健康な人生を期待できる」とまとめている。


「The price of a cigarette: 20 minutes of life?」(Addiction)
 https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/add.16757