英国グラスゴー大学 Catherine Friel 氏らの報告。研究成果は、2024年7月16日「BMJ Public Health」に掲載。
スコットランドの国勢調査から抽出した8万2,297人(16〜74歳)が対象。追跡期間は2001年から2018年。対象者を、学校や職場への通勤手段により、活動的な通勤者(徒歩、自転車で通勤)と、それ以外の手段で通勤している非活動的な通勤者として分類し、両者間での健康リスク(死亡、入院、服薬状況 等)を比較した結果。
徒歩通勤は、非活動的な通勤者と比較して、入院リスクは9%(HR 0.91、95% CI 0.88~0.93)、心血管疾患入院リスクは(HR 0.90、95% CI 0.84~0.96)、心血管疾患の治療薬処方のリスクは(HR 0.90、95% CI 0.87~0.93)、精神疾患の治療薬処方のリスクは(HR 0.93、95% CI 0.90~0.97)低い結果。(上図参照)
自転車通勤者は、非活動的な通勤者と比較して、全死亡リスクは47%(HR 0.53、95% CI 0.38~0.73)、入院リスクは(HR 0.90、95% CI 0.84~0.97)、心血管疾患の入院リスクは(HR 0.76、95% CI 0.64~0.91)、心血管疾患の治療薬処方のリスクは(HR 0.70、95% CI 0.63~0.78)、がん死亡リスクは(HR 0.49、95% CI 0.30~0.82)、がん入院リスクは(HR 0.76、95% CI 0.59~0.98)、精神疾患の治療薬処方のリスクは(HR 0.80、0.73〜0.89)低い結果。ただし、交通事故による入院リスクは非活動的な通勤者の2倍(同1.98、1.59〜2.48)。(上図参照)
報告は、「活動的な通勤者は、非活動的な通勤者よりも、身体的および精神的に健康上の悪影響受けるリスクが低かった。これらの知見は、積極的な通勤が健康に良いという証拠を補強するものである」とまとめている。
「Health benefits of pedestrian and cyclist commuting: evidence from the Scottish Longitudinal Study」(BMJ Public Health)
https://bmjpublichealth.bmj.com/content/2/1/e001295