ウォーカビリティ(歩きやすさ)は都市部では健康にプラスに影響するが、地方部ではプラスの影響を与えないことがある!(千葉大学)

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(アイキャッチ画像、上図は本文と直接は関係ありません)

 千葉大学予防医学センター 河口 謙二郎 氏らの報告。研究成果は、2025年9月21日に「Health & Place」に掲載。

 65歳以上の日本人成人を対象とした全国的なコホート研究である日本老年学評価研究(JAGES:Japan Gerontological Evaluation Study)を使用。2013年、2016年、2019年の3時点のデータを用いて「質問票ベースサンプル(2万7,354名)」と「介護保険ベースサンプル(4万111名)」の2種類の解析サンプルを作成。人口密度、小売および公園エリアまでの距離、道路密度から導き出された近隣の歩きやすさの複合指標との関係を分析。

 主な結果

〔都市部〕
・ ウォーカビリティの高い地域ほど歩行時間の増加と関連。

〔地方部〕
・ ウォーカビリティの高い地域ほど趣味・スポーツグループへの参加や外出頻度と関連。
・ ウォーカビリティの高い地域ほど要介護認定(要介護度2以上)の増加、座位行動の増加、互恵性の低下と関連。
・ ウォーカビリティと歩行時間に関連はなかった。


 報告は、「ウォーカビリティの高い都市部では、死亡リスクの低下など一貫した利益が認められた。一方、地方では利益と課題が併存しており、趣味などの社会参加は多いものの、要介護認定や孤独感、座りがちな生活のリスクも高かった。これらの結果は、都市部では歩行を中心とした都市設計、地方では交通手段の整備や社会的つながりの促進、活動機会の拡充など、場所に応じた複合的な戦略の重要性を示している」とまとめている。



「Neighborhood walkability and subsequent health and well-being in urban and rural Japan: An outcome-wide longitudinal study」(Health & Place)
 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S135382922500139X?