「背筋を伸ばして、身体を起こした状態でのゆっくりとした立ち座り動作」(武士の所作)は、効果の高い筋力トレーニング!?(東北大学)

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 東北大学 小笠原 彩香 氏らの報告。2025年9月1日 同大学ホームページにて公表。研究成果は、2025年8月18日に「The Tohoku Journal of Experimental Medicine」に掲載。

 研究チームは、武士が受け継いできた動作様式で、「立つ・座る・歩く」といった日常の動作を、反動をつけずにゆっくりと行う「礼方」に注目。礼法経験のない20歳以上65歳未満の34人を無作為に17人ずつに分け、一方を1日約5分の「礼法を取り入れた運動(動画で提供)」を週4日以上、3カ月間継続実施する「礼法トレーニング群」、他方を普段通りの生活を続ける「コントロール群」とした。途中「礼法トレーニング群」3名、「コントロール群」1名が脱落。最終的に「礼法トレーニング群」14名(男性3名、女性11名、平均年齢39.4歳)、「コントロール群」16名(男性5名、女性11名、平均年齢36.1歳)の介入前後の脚筋力の変化を比較検討。

 「礼法を取り入れた運動(動画で提供)」
 開始時は、スクワット(上図a)10回、椅子からの座り立ち(上図c)10回。2週間後に、スクワット12回に増加、椅子からの座り立ちは10回のまま維持して実施。
 プログラムの実施上の注意点として(1)両足を揃える、(2)上体の前傾を避ける、(3)一定のペースで動作を実行する、(4)ゆっくりとした制御された動作を維持する(しゃがむのに約5秒、立ち上がるのに約5秒、椅子に座るのに約4秒、椅子から立ち上がるのに約4秒)、(5)臀部を膝より上に保つ、とした。

 結果

 「礼法トレーニング群」は平均25.9%、「コントロール群」は平均2.5%の筋力が向上。


 報告は、「今回の研究は、1日5分程度の礼法トレーニングで筋力向上が得られる可能性を示した。特に、高齢期を迎える前から取り入れることで、脚の筋力を鍛え、筋力低下を予防する手段の一つになり得る」とまとめている。


「武士の日々の所作で脚力が強化する 1日わずか5分で高齢期の筋力低下を防ぐ効果に期待」(東北大学)
 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2025/09/press20250901-02-Samurai.html
「A Traditional Japanese Samurai Movement Rei-ho as a Knee Extension Strength Training: A Randomized Controlled Study」(The Tohoku Journal of Experimental Medicine)
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/tjem/advpub/0/advpub_2025.J099/_article/-char/ja