2型糖尿病、高血圧、脂質異常症の家族歴は非常に有用なリスク評価指標!!(新潟大学 他)

(アイキャッチ画像、上図は、本文とは直接は関係ありません) 

 新潟大学大学院 池田 和泉 氏らの研究グループの報告。2025年1月30日新潟大学ホームページで公表。研究成果は2025年1月29日「Mayo Clinic Proceedings」に掲載。

 虎の門病院健康管理センターの人間ドック受診者41,361人が対象。2型糖尿病、高血圧、脂質異常症の3疾患それぞれについて、横断解析により有病リスクを解析し、その後観察期間中央値5~6年間の縦断解析により発症リスクを検討。具体的には、① 親族の種類(親、兄弟姉妹、祖父母)ならびにそれらの組み合わせや人数、世代などの詳細な家族歴の影響の検討およびその3疾患間の比較、② 3疾患いずれにも関連が深い肥満(の程度)と家族歴との組み合わせの影響の検討、③ 横断解析(有病リスク)と縦断解析(発症リスク)の両方の検討ならびに3疾患間の比較を行った結果。

 主な結果のポイント

・ 横断解析では、3疾患いずれについても、何らかの家族歴がある人は、ない人と比較して2~3倍の有病リスク上昇がみられ、その影響度は、2型糖尿病、脂質異常症、高血圧の順に強かった。

・ 3疾患いずれについても、親族内罹患者数が多いほど有病リスクが上昇。その傾向は、特に2型糖尿病で他2疾患より著しく、家族歴がない人と比較した有病リスクは、罹患親族数2人で約6倍(他2疾患では約3倍)、同3人以上では約12倍(他2疾患では約4倍)、3世代にわたる家族歴が存在する場合には約20倍に達した。

・ 家族歴と肥満はいずれも、しかも相加的に各疾患の有病リスクを上昇させた。特に高血圧の家族歴を有しBMI 30.0kg/m2以上の肥満の人の高血圧有病リスクは、家族歴がなくBMI正常(5-24.9kg/m2)の人の約19倍高かった。

・ 縦断解析による発症リスクの比較では、2型糖尿病が他2疾患より家族歴の影響を強く受けることが判明した。


 報告は、「今回の研究により、家族歴は非常に有用なリスク評価指標であり、これを詳細に聴取・把握することにより、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症の現在の有病リスクと将来の発症リスクを個人別かつ定量的に評価可能であることが示された。さらに、これらの疾患の家族歴があっても、肥満を予防することでリスクをかなり低減できる可能性も示唆され、早期のリスク把握や早期の予防介入などに役立つことも期待される」とまとめている。


「3世代(親、兄弟姉妹、祖父母)にわたり2型糖尿病の親族がいる人の2型糖尿病有病リスクは、まったくいない人の約20倍」(新潟大学)
 https://www.niigata-u.ac.jp/news/2025/777069/
「Cross-sectional and Longitudinal Associations Between Family History of Type 2 Diabetes Mellitus, Hypertension, and Dyslipidemia and Their Prevalence and Incidence」(Mayo Clinic Proceedings)
 https://www.mayoclinicproceedings.org/article/S0025-6196(24)00615-3/fulltext