大阪公立大学大学院 加登 遼 氏の報告。2025年1月24日大阪公立大学のホームページで公表。研究成果は、2024年12月28日「Scientific Reports」に掲載。
2023年11月に開館した大阪府茨木市の中心市街地活性化のコアとなる公共施設として“育てる広場”をキーコンセプトに、ホールや図書館、子育て支援、プラネタリウム、市民活動センターなどを集約した複合型公共施設「おにクル」が地域居住者の歩行時間に与えた影響を調査。スマートフォンユーザーの匿名化された位置情報データであるGPS(Global Positioning System)の軌跡データを用いて、全178,284人より抽出した複合施設の開館前後の来訪者883人と非来訪者883人の1日あたりの平均歩行時間の変化を分析。「おにクル」開館前後15日間を対象として、ベースライン期間は2023年11月11日から11月25日、追跡期間は2023年11月26日から12月11日。
以下結果の一部
「おにクル」開館前は、来館者群の歩行時間は、平均78.010 [74.615, 81.404]分/日、非来館者群は平均85.478 [80.215, 90.741]分/日。開館後は、来館者群の歩行時間は平均82.910 [79.173, 86.647]分/日、非来館者群は平均87.214 [81.803, 92.624]分/日。「おにクル」開館前後の変化は、来館者群は4.900 [1.463, 8.338]分/日、非来館者群は1.735 [- 1.702, 5.173]分/日増加。来館者群は非来館者群と比較して平均歩行時間が3.165 [- 1.697, 8.027]分/日に増加。(上図参照)
さらに、来館者を性別・年齢ごとの8グループに分けて調査したところ、若い女性(18歳~44歳)のグループは3.385分/日[95%信頼区間:−4.906~11.676]増加。
報告は、「建築規模の介入で歩行に大きな影響を与える健康促進建築環境への理論的貢献を果たした。この理論的貢献は、都心部で健康促進建築環境を設計することを目指す都市計画者にとって重要な考慮事項を浮き彫りにしている」とまとめている。
「茨木市文化・子育て複合施設「おにクル」の開館効果を検証 -ウォーカブルな中心市街地へ-」(大阪公立大学)
https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-15437.html
「Daily walking time effects of the opening of a multifunctional facility “ONIKURU” using propensity score matching and GPS tracking techniques」(Scientific Reports)
https://www.nature.com/articles/s41598-024-82232-x