公益財団法人 明治安田厚生事業団 北濃 成樹 氏らの報告。2024年10月17日 同ホームページで公表。研究成果は、2024年10月8日「Journal of Physical Activity and Health」に掲載。
2022年4月~2023年3月にかけてMYLSスタディ※に参加した勤労者(オフィスワーカーや営業職)1,133名が対象。
腰に活動量計を装着し、普段の身体活動量や座位行動時間を測定。併せて、調査票を使って1週間の在宅勤務頻度を調査。これらの情報を基に、在宅勤務の頻度と身体活動・座位行動の関連性を検討。
主な結果
在宅勤務の頻度が多いほど活動量が少ないことが明らかになった。例えば、毎日出社している人に比べて、週5日以上在宅勤務している人の1日の歩数は、半分以下で約4,000歩少なかった。また、座位行動が約70分多かった。(上図参照)
在宅勤務に関連した活動量の低下は、性別、年齢層、教育歴、生活習慣改善に対する関心の有無により異なる傾向が見られた。具体的には、40歳以上、女性、教育歴が高校卒以下、運動や食習慣の改善に対して無関心な勤労者において、在宅勤務に関連した活動量の低下が著しいことがわかった。
報告は、「本研究から、感染症対策が緩和された現在においても在宅勤務を行うことで、活動量が大幅に低下する可能性があることがわかった。また、こうした活動量の低下が著しい集団(例:女性や生活習慣の改善に無関心な勤労者)がいることも確認した。これまでの研究から、座りすぎや不活動状態が心身の健康に悪影響を及ぼすことがわかっており、在宅勤務の長期化により、新たな健康リスクが高まることが懸念される。本研究の成果は、活動量が低下しやすい勤労者の健康を守り長期的な在宅勤務を支援するためにも、身体活動の促進を目的とした対応策の開発と実装が必要であることを強調している」とまとめている。
※ 明治安田ライフスタイル研究(MYLSスタディ:Meiji Yasuda LifeStyle study)
明治安田新宿健診センターを拠点として、運動や座りすぎを中心とした生活習慣が健康にあたえる影響の解明を目的に行われるコホート研究。
「在宅勤務で歩数が4,000歩減少、座位時間が70分増加 -活動量計を用いた国内初の研究結果まとまる-」(明治安田厚生事業団)
https://www.my-zaidan.or.jp/pressrelease/detail.php?id=9f4312dfa1144d9f6a4031dd6f198bb2&tmp=1729904084
「Associations of Working From Home Frequency With Accelerometer-Measured Physical Activity and Sedentary Behavior in Japanese White-Collar Workers: A Cross-Sectional Analysis of the Meiji Yasuda LifeStyle Study」(Journal of Physical Activity and Health)
https://journals.humankinetics.com/view/journals/jpah/aop/article-10.1123-jpah.2024-0147/article-10.1123-jpah.2024-0147.xml