中年期の睡眠時間が長いこと及び中年から晩年にかけての睡眠時間の増加は、認知症発症リスクと関連!(長崎大学 他)

 長崎大学の 宮田 潤 氏らの報告。研究成果は2024年3月号の「Preventive Medicine」に掲載。

 40~71歳の日本人41,731人が対象。ベースライン(1990~1994年)の習慣的な睡眠時間と5年間の追跡調査を記録。睡眠時間の変化は、ベースラインと5年間の測定値の差とした。介護保険制度(2007年~2016年)を使用して認知症を特定。睡眠時間及び睡眠時間の変化と認知症リスクを分析。認知症のハザード比(HR) と95%信頼区間 (CI) の算出には、エリア層別Coxモデルを使用。

 360,389人年の間に、4,621人が認知症を発症。

 睡眠時間「7時間」群と比較した認知症発症リスクは、「3~5時間」群で多変量ハザード比(HR)1.13 (95% CI:0.98~1.30)、「6時間」群 HR 0.93(0.85~1.02)、「8時間」群 HR 1.06(0.99~1.14)、「9時間」群 HR 1.13(1.01~1.27)、「10~12時間」群 HR 1.40(1.21~1.63)。(上図左参照)
 睡眠時間の変化と認知症発症リスクについては、睡眠時間の「変化なし」群と比較して、「2時間以上の減少」群HR 1.02(0.90~1.16)、「1時間の減少」群HR 0.95(0.88~1.03)、「1時間の増加」群HR 1.00(0.91~1.09)、「2時間以上の増加」群HR 1.37(1.20~1.58)。(上図右参照)

 睡眠時間の減少との正の関連性は、初期睡眠時間が7時間以下の個人では観察されたが、8時間以上の個人では観察されなかった。(相互作用 p=0.007)

 報告は、「中年期の睡眠時間が長いこと、および中年から晩年にかけての睡眠時間の増加は、認知症のリスクと関連していた。過度に長い睡眠時間は避けるか監視する必要がある」とまとめている。


「Sleep duration, its change, and risk of dementia among Japanese: The Japan Public Health Center-based Prospective Study」(Preventive Medicine)
 https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0091743524000392